こんにちは。オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメントの草野です。
連載「知的財産で売上UP!活用法&リスク管理法」 、前回の記事では、知的財産権の取得で得られた信用力をお金にする4つの方法のうち、1つ目の方法についてご説明しました。
今回はその続きということで、残る3つの方法をご説明します。
方法② 融資の通過率や融資可能額を高める
中小企業や個人の方であれば、多くの方が銀行からの借入れを検討します。
その際に、これまでの実績や事業計画がかなり重要なのはいうまでもありませんが、これまでの実績があまりない人だと、アピール材料がどうしても少なくなります。
貸付けを行う側の銀行からしたら、実績がない人にお金を貸して戻ってくるのかどうかわからないので、しっかりと事業をできる人、つまり信用できる人に貸したいと思うのは当然です。
その際に知的財産権を保有していれば信用力が上がるため、お金を借りられる可能性が上がり、かつ融資額が上がる可能性も出てくるのです。
実際、融資の際に、特許などの知的財産権を保有しているかどうかはよく聞かれます。
それを聞くということは当然、知的財産権が重要だからです。
事業を行ううえで資金は必須となり、銀行融資を検討すべき場合が非常に多いので、それも踏まえて知的財産権の取得も検討すべきです。
方法③ 補助金や助成金の獲得の可能性を高める
企業や個人事業主が、厚生労働省や経済産業省などから受け取れる補助金や助成金の種類はたくさんあります。
これらの中には、知的財産権、特に特許を保有していることで、受け取れる可能性が大きく上がるものがあります。
これも銀行融資の場合と同じく、信用力のある人や企業にお金を出したいと思うのは当然であり、特許などを保有しているかどうかで信用力の評価が変わってきます。
例を挙げると、補助金の中のものづくり補助金は、技術的な要素が大きく関係し、特許を保有していると評価が上がり採択される可能性が上がります。
補助金の金額も最大1,000万円のものがあるため、60~80万円前後の費用をかけて特許を取得しても、その費用を大きく上回る金額を獲得できる可能性が十分にあります。
助成金に関しても、製品開発着手支援助成事業や新製品・新技術開発助成事業といったものがあり、後者は最大1,500万円まで受け取れます。
また、特許の権利期間は出願から20年間なので、最大20年間信用力を得られることとなり、その間補助金や助成金を受け取るうえで有利になります。
そのように考えると、一度でも特許の信用力により補助金や助成金を受け取ることができれば、特許の取得にかかった費用を差し引いてもプラスになることが多いです。
方法④ 投資家などから出資を受けられる可能性を高める
代表的な資金調達の方法といえば、融資の他には出資があります。
出資の場合は、相手がエンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどの企業である場合が多いですが、銀行と同じく知的財産権、特に特許の保有の有無を気にする方が多いです。
相手が事業というものを理解している方であればあるほど、知的財産の重要性を理解しているので、特許などについて気にするのは当然かと思います。
また、出資の場合は目的が大きな儲けを出すことであることが多いので、銀行融資と違って返済ができるかどうかではなく、将来性がかなり高い企業にしか投資をしません。
そのため、知的財産権により他社との差別化を図り、事業で勝ち残れるような企業に投資をしたくなるのは当然かと思います。
ちなみにですが、私がお世話になっている方で、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルと起業家の仲介を行なっている会社の社長の方がいらっしゃいますが、事業投資において知的財産が重要であることを実感したため、講義を受講して知的財産について勉強をされています。
もはや起業アイデア全体が知的財産の塊であると言える場合が多いため、投資家やベンチャーキャピタルが知的財産のことを無視することはほぼ考えられません。
他には、クラウドファンディングといった資金調達に関しても知的財産権が大きく影響してきます。
クラウドファンディングの場合は出資者の数を多く集める必要があるため、当然より多くの人に事業を評価してもらう必要があります。
そこでも特許などの知的財産権をアピールできれば、多くの人に凄いという印象やしっかりしているという印象を与えることができ、当然集まる金額も上がる可能性が高いです。
単純に考えて知的財産権を保有しているかしていないであれば、当然保有している方が出資したくなると思います。
知的財産権は資金調達に役立つ
以上のように、資金調達という観点で見ると、知的財産権は非常に有効なのです。
知的財産権は内容が非常に大事であることはもちろんなのですが、仮に内容があまり良くなくても、特許などの信用力の高い知的財産権を単に保有しているだけでもプラスになることは十分にあり得ます。
というのも、融資、補助金、助成金、出資に関わる銀行、国の機関、投資家などは、たいてい知的財産についての専門家ではないので、知的財産権の細かい内容については踏み込まない場合がほとんどだからです。
そのため、知的財産権を保有しているという事実だけでも、十分に効力を発揮する場合は大いにあります。
つまり、アイデアを保護・独占するという知的財産権の本来の目的は気にせず、資金調達のためだけに活用するという考えも有りなのです。
もちろん知的財産権の本来の目的を達成して、かつ資金調達にも活用できればより良いですし、さらにいえばあらゆる活用ができればベストです。
特許などの知的財産権が資金調達に活用できるというのは意外と認識されておらず、私も会社員の頃は、そのような認識はありませんでした。
知的財産権をぜひ資金調達にご活用いただければと思います。
連載「知的財産で売上UP!活用法&リスク管理法」、前回から今回にかけて、知的財産権の信用力をお金に繋げる4つの方法についてご説明しました。
次回は、知的財産を新規事業の探索に役立てる方法についてお話しします。
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