皆さん、こんにちは。オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメントの草野です。
前回までは、特許権、 著作権、 商標について、それぞれ連載してきました。
今回の連載では、売上UPに繋げるために知っておきたい、知的財産の活用方法とリスク管理について触れていきたいと思います。
第1回は、知的財産の基本的なところとして、代表的な4種類の知的財産についてお伝えします。
知的財産とは何か?
まず、知的財産という言葉の意味から見ていきます。
知的財産という言葉は、正式な定義が知的財産基本法の第二条に定められています。
ただ、この条文を見ても知財業界以外の方にとってはほぼ意味不明だと思います。
そこで私がざっくり噛み砕いて説明します。
知的財産の主なものは「独創的なアイデア」あるいは、「創作物」です。
(他にも色々ありますがややこしいのでとりあえず上記2つで考えてください)
以後、「独創的なアイデア」は単にアイデアともいいます。
また、知的財産という言葉自体も「知財」と略すことが多いので、
「知的財産=知財=独創的なアイデア=アイデア」
と考えていただいて問題ありません。
知的財産というのは、分野を問わずアイデア・創作物全般を指すのでかなり広い概念となりますが、いくつかの種類に分かれています。
その中で重要でメジャーなものを4つご紹介します。
主な知的財産①:発明
発明とは、簡単にいうと技術的なアイデアです。
また、特許という言葉をご存知の方は多いと思いますが、発明を保護・独占する為の権利が特許です(正確には特許権といいます)。
発明というと、発明王エジソンやドクター中松さんを思い付く方が多いかと思いますが、発明は生活や仕事といったあらゆるところにたくさん存在します。
例えば、身の回りにある家電製品も発明の塊です。掃除機、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどです。
それから、工場や職場などにある機械、薬局やコンビニなどに売っている医薬品、スマホで使うアプリ・プログラム、インフラシステムや金融システムといった、ハードやソフトの集合体などもたくさんの発明の集合体です。
また、ビジネスモデルも発明に該当する場合があります。全体的に見て技術的なアイデアとなっていれば、ビジネスモデルであっても発明として認められるのです。
以前、いきなりステーキがビジネスモデル特許を取得し、株価が大きく上がったことが話題になりました。 一見店員が行う作業内容ですが、技術的な要素も絡んでいたので発明や特許として認められました。
ちなみに、発明に該当しないこととしては、技能やルールといった、個人能力のようなものや人為的取決めです。 例えば、カッコよく見える歩き方や、上品に見える座り方といったことは、技術ではなく技能に当たります。
主な知的財産②:商標
商標とは、自分の商品・サービスと他人の商品・サービスとを識別するためのものです。
具体例としては、会社名、店名、商品・サービス名、ロゴマーク、キャッチフレーズなどです。
有名なものだと、例えば、「たまごっち」や「弾丸ツアー」といった商品・サービス名、KDDIのauの文字のロゴやアップル社のリンゴのマーク、ライザップのキャッチフレーズである「結果にコミット」などがあります。
商標の最も基本的な機能は、上記で触れた自他商品等識別機能ですが、そこから派生した3つの機能があり、以下のようになります。
① 出所表示機能
② 品質保証機能
③ 広告宣伝機能
これらについては、次回以降の商標編で、あらためて解説したいと思います。
主な知的財産③:意匠
主な知的財産、3つめは意匠です。
意匠については、見たことも聞いたこともない方が多いと思います。笑
意匠とは、物品などのデザインです。 言い換えると、量産ができる工業製品です。
そのため、世の中に1つしかない美術品のデザインなどは、意匠には含まれません。
また意匠は形状を含むことが前提なので、液体や気体のような形状のないものは意匠とはなり得ません。
意匠の対象としては、掃除機や冷蔵庫などの家電、椅子やテーブルなどの家具、コピー機や発券機などの機械、金槌やノコギリなどの道具などのデザインが該当し、発明と同じく幅広い分野のものが該当します。
主な知的財産④:著作物
主な知的財産、最後は著作物です。
著作物とは、簡単に表すと、思想や感情を創作的に表現したものとなります。
著作物を保護する権利が著作権となります。 一般的には著作権という言葉がかなり知られているかと思います。
著作物にも様々な種類がありますが、言語、音楽、美術、建築、図形、映画、写真などの著作物があります。
言語の著作物というと、本、手紙、新聞、論文、セミナーや講演で話す内容、Web上の記事などが該当し、私が書いているこのブログの記事も言語の著作物になります。
図形の著作物とは、設計図や模型などの学術的な図形を指します。
音楽、美術、建築、映画、写真については、ほとんどの方がご存知だと思いますので説明を割愛します。
上記で触れた発明、商標、意匠とは異なり、著作物を創り出した時点で著作権が発生します。
他の3つは、特許庁に出願という手続きをしないと登録にはなりません。
つまり皆さんは、普段何気なく書いている絵や、撮影している写真、動画についての著作権を持っているのです。
そのため、著作物は、全ての人に密接に関係する知的財産だと言えるでしょう。
連載「知的財産で売上UP!活用法&リスク管理法」、第1回の今回は、代表的な4つの種類の知的財産についてお伝えしました。
次回以降は、これら4つの知的財産についてお話しすることが多くなります。皆さんの生活や仕事でも関わりが大きいかと思いますので、ぜひ認識していただけたら幸いです。
知財検定や弁理士試験でも配点の割合が高いです。
次回からは、ビジネスにおける知的財産の活用方法についてお伝えします。
参考URL:
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/hourei/kihon.html
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