こんにちは、ライターの長谷川智治と申します。
この連載「第二種電気工事士の科目別勉強法」 では、独学で勉強しこの資格に挑み、2回の挑戦で合格を勝ちとった筆者が、科目別勉強のコツや、試験に一度落ちた経験からわかる様々なことをお伝えしていきます。
今回は、筆記試験4つ目の科目、「電気工事の施工方法」の勉強法について解説します。
初学者の方は、この科目について
「そもそも筆記試験で覚える内容?どうやって勉強するんだろう…」
「施工方法は、現場で覚えるんじゃないの?」
と思う人もいるかもしれません。
第二種電気工事として働くためには、施工方法や施工条件について、まず正しい知識を持つ必要があります。
筆者は、第二種電気工事士として様々な現場を経験してきましたが、正しい施工方法についてもっと勉強しておけばよかったと、幾度となく後悔してきました。
「電気工事の施工方法」の知識は、筆記試験だけでなく、現場で後悔しないための知識でもあるのです。しっかりと知識として頭に入れていきましょう!
効果的な勉強法もお伝えするので、ぜひお役立てください。
第二種電気工事士 科目別勉強法 |
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筆記試験(1)電気に関する基礎理論 |
筆記試験(2)配線理論及び配線設計 |
筆記試験(3)電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具 |
筆記試験(4)電気工事の施工方法 ←今回はココ! |
筆記試験(5)一般用電気工作物の検査方法 |
筆記試験(6)配線図 |
筆記試験(7)一般用電気工作物の保安に関する法令 |
技能試験 |
「電気工事の施工方法」の概要と配点
「電気工事の施工方法」は、その名の通り、電気工事における正しい施工方法、施設条件について学ぶ科目です。
特に重要なのが施工方法。
経済産業省の定める「電気設備の技術基準の解釈」(以降:電技解釈)によって、正しい施工方法の基準が定められているので、それをしっかりと学びます。
基準に満たない電気設備を作ってしまえば、経済産業省から指導や処罰を受けることもあり、筆者も知識不足がゆえに、後悔が残る現場を経験してきました。 現場でより活躍できる電気工事士になるために、正しい施工方法について、よく理解しておくことをおすすめします。
また、例年この科目からは、5問ほど出題される傾向があります。 全体に占める配点の割合は、1割程度。
「電気工事の施工方法」の問題の特徴としては、施工条件や正しい施工方法について問う形式がほとんどです。
連載第3・4回で紹介した科目、「配電理論及び配線設計」「電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具」、これらの知識も必要になってきますので、わからない用語があれば、都度復習しておくといいでしょう。
感電と漏電を防ぐために!施設場所と工事種類について
施工できる工事の種類は、現場の状況によって異なります。
この科目では、施工場所と工事種類の関係について問う問題が出題されるので、電技解釈156条を参考に、それぞれの特徴を押さえておくといいでしょう。
筆者がまとめたものがありますので、まずはこちらをご参考ください。
施工場所 工事種類 |
点検できる隠ぺい場所 | 点検できない隠ぺい場所 | ||
乾燥 | 湿気・水気 | 乾燥 | 湿気・水気 | |
金属管工事 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
金属可とう電線管工事 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
合成樹脂管工事 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
ケーブル工事 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
がいし引き工事 | ◎ | ◎ | × | × |
金属ダクト工事 | ◎ | × | × | × |
金属線ぴ工事 | ◯ | × | × | × |
ライティングダクト工事 | ◯ | × | × | × |
フロアダクト工事 | × | × | △ | × |
凡例:◎:600V以下で施設可 ◯:300V以下で施設可 △:コンクリート床内に施設可×:施設不可
(引用元:電技解釈 第156条:低圧屋内配線の施設場所と工事の種類)
上記の工事について、すべての特徴を覚えるのが難しいという方は、試験に出やすい以下の点を押さえておくとよいでしょう。
すべての場所において施設可能な工事
・金属管工事
・金属製可とう電線管工事
・合成樹脂間工事
・ケーブル工事
乾燥した場所に限り施設可能な工事
・金属ダクト工事
・金属線ぴ工事
・フロアダクト工事
また、覚える際には、漏電や感電の恐れに注目する勉強法がおすすめです。
「合成樹脂管は絶縁性も高く、漏電の恐れはないため、どんな場所においても施設可能である」
このように、各工事の特徴や理由を踏まえれば、効率良くインプットできるでしょう。
安全な設備を作るために!正しい施工方法について
第二種電気工事士の仕事に従事するためには、上記の表にある各工事において、使える材料、使用電圧、注意点などを、しっかりと覚えなくてはなりません。
例えば金属管工事では、「接続点を設けてはならない」といった注意点があり、これを怠ったが故に、感電事故に繋がったケースが数多くあります。
正しい施工方法を知らない危険意識の低い者は、第二種電気工事士として従事できないということを認識しておくと、より真剣に勉強できるのはないでしょうか。
また、一見すると工事種類が多いため、初学者の方からすれば大変に感じることでしょう。しかし、以下のポイントを押さえた勉強法であれば、試験に頻出する問題は解けるはずです。
・工事目的
・使用できる電線の種類
・施す接地工事の種類
・金属管、合成樹脂管の注意点 ※
・電線間の接続 ※
特に、※印がついたポイントは、技能試験においても必要になる知識です。
例えば電線間の接続について、「1.6mm同士の電線を接続するとき、適切な圧縮サイズは次のうちどれか?」など、接続時のポイントについて問われる問題がありますが、技能試験の問題いずれにしても、電線を接続する作業があります。
そこで、覚えた知識を作業として正しくアウトプットできるかどうか、技能試験の練習も兼ねて、確認してみるのもいいでしょう。
連載「第二種電気工事士の科目別勉強法」 、今回は、試験科目の1つ「電気工事の施工方法」の概要と勉強法についてお伝えしました。
特に、正しい施工方法に関する知識は、技能試験および現場で必要となりますので、入念にチェックしてほしいです。
試験本番でどうしても思い出せない…というときは、「電気工事は安全が最優先」という事実を知っておくだけで消去できる選択肢もあります。
ぜひ念頭に置きつつ勉強し、試験や現場でも活かしてみてください。
さて次回は、科目「一般用電気工作物の検査方法」について取り上げます。
検査の知識があれば、何気なく見かける電気設備においても、いかに安全性が重視されているか理解できると思います。参考にしていただけると幸いです。
参考:
電気設備の技術基準の解釈-経済産業省(P148)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2016/04/280401-3-4.pdf
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