魔王が支配するRPGの世界。世界平和のために戦う戦士と魔導士が酒場で出会ったのは、謎の男「販売士」。
彼は数字を元にした戦略やモチベーションを上げる人の育て方など、新時代の戦い方を知る男であった。
はたして販売士は、この世界を救えるのか?!
前回までのお話はコチラ
戦士・魔導士・販売士の一行は、ようやく町を後にした。ここからは、モンスターたちがはびこる草原を進む。
魔導士:連載開始以来、やっとまともに冒険に出られるね。
戦士:街をウロウロしてばかりだったもんな。あ、さっそく敵がいる!
魔導士:うわ…強そう。どうやって戦うの?販売士さんは。
販売士:フフフ…私はね…戦いは避けます!
戦士:コラ、逃げるのか!
販売士:経営戦略の基本は「競争回避」です。戦ってもケガするだけですからね。
説明しよう。「競争回避」とは、業者間の価格競争を避けるため、参入障壁などを築く方法を指す。競合が少ない領域をねらう「ブルーオーシャン戦略」も競争回避に有効である。
スタスタ…とモンスターに向かって歩き出す販売士であった。何かを話しかけて戻ってきた。
魔導士:ちょっと…大丈夫?
販売士:いまモンスターたちと交渉してきました。私たちよりも大金を持った勇者たちが通る予定の場所を伝えたので、見返りとしてお金がもらえました。
戦士:お前サイテーだな(笑)
販売士:「敵を味方に取り込む結託」戦略です。お互いにWin-Winになることはすべてビジネスになります。弱者が生き残るには、競争回避のための知恵を使っていかないと。
魔導士:でも、これから来る勇者たちがかわいそう…
販売士:大丈夫です!私たちも同じ場所へ向かいますから。ほら!(パカッ)
販売士の手元の箱には薬草や回復薬がいっぱい詰まっていた。
販売士:昨夜、複数の勇者グループさんたちと交渉をしました。戦いは任せたので、私たちは「回復係」に回りますよ…と。勇者さんたちが、モンスターを倒してくれたら、経験値とお金の10%を我々に回してもらう約束になっています。
魔導士:そんなのってアリなのー?
戦士:理にはかなってるな。その分、彼らも戦いやレベル上げに力を割けるってことか。
魔導士:…ってことはまさか、街から引いて来たワゴンの中身は…
販売士:はい!武器や戦闘用消耗品です。今度は「移動販売」で一儲けしましょう。
説明しよう!「移動販売」とは人の集まる場所に車で移動し、その場で商品を販売する無店舗販売の一種である。
販売士:薬草などの回復薬は大量購買しているので、ちゃんと「バイングパワー」も効いています。30%引きで購入できました。
戦士:発想がぶっ飛びすぎててついていけないけど、街に戻らずにアイテムが手に入るのはありがたいし、多少高くても喜ばれるだろうな。
販売士:ちなみに武器は町の武器屋さんからの「委託販売」ですので在庫リスクはゼロです。さあ、しっかり儲けましょうね!
魔導士:あ、ポップコーンとかジュースとかも入ってる!わーい!!
販売士:戦いを見物する皆さんのための、ファーストフードですよ。商売が済んだら魔導士ちゃんも一緒に戦いを観戦しましょう。
実際のところ、移動販売の取り扱い商品はお弁当などの食料品が多いのであった。
…「戦士・魔導士・販売士」の冒険は続く。
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戦士・魔導士・販売士(全12回)
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