魔王が支配するRPGの世界。世界平和のために戦う戦士と魔導士が酒場で出会ったのは、謎の男「販売士」。
彼は数字を元にした戦略やモチベーションを上げる人の育て方など、新時代の戦い方を知る男であった。
はたして販売士は、この世界を救えるのか?!
すっかり町の武器屋に気に入られ、今日も相談に乗る販売士であった。
武器屋:近くにできた武器屋の大型店のことについてです。顧客を奪われていまして。
戦士:5階建ての店だな。知り合いもあそこで武器を買いそろえていると言っていたな。
魔導士:あそこの店、武器の1つ1つが安いもんね。おたくの経営努力が足りないんじゃない?もっと安くしなさいよ。
武器屋:いや~。なぜ大型店はそんなに安い値段で売れるのか、不思議で仕方がないです。
販売士:それは、バイングパワーの違いですよ。
「パワー」と聞いて、戦士が身を乗り出す。
戦士:ばいんぐパワー?それはなんだ?力で戦う俺たちにとっても気になる用語だな。
販売士:大量仕入により、仕入条件について有利な交渉ができる力のことですよ。
大型店は鋼の剣をまとめて1,000本単位で仕入れるでしょうから、製造しているメーカーとしてもありがたいんですよ。
仕入の原価を下げられるからこそ、安く売れるのでしょう。
武器屋:そういうことだったんですね。しかし、うちのような弱小の武器屋では、1回の仕入れでせいぜい50本程度です…。
魔導士:打つ手ないじゃん。ちいさいお店はみんな廃業だねっ。
武器屋:おっしゃるとおり、私のような武器屋の個人店の仲間と話をしていると、みな廃業を検討している状況なんです。
そんな店が知り合いだけで20~30店舗はありますよ。
キラリン!今日も販売士の目が光る。
販売士:では、ボランタリーチェーンを組みましょう!
魔導士:ぼらんたりー…ちぇーん???何それ?新しい魔法?
販売士:ボランタリーチェーンとは、複数の小規模店が集まって、共同仕入などを行う連鎖組織のことです。
30店舗の社長さん同士で連携して、同じ剣を特定の1社から仕入れたらどうですか?交渉力も上がりますよ!
戦士:なるほど!50本×30店舗で1,500本は仕入れられるな。
武器屋:なるほど!それであれば、各地の大型店にも対抗できますね!さっそく近々、武器屋の寄り合いがあるので提案してみることにします。
販売士:ヒーローも武器屋も、1人では戦えません。みんなで立ち向かってこそ、知恵が出るんですよ。
魔導士:何うまいこと言ってんのよ。でも…ちょっとカッコいいじゃん。
魔導士のツンデレぶりも、発揮されそうな予感であった。
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戦士・魔導士・販売士(全12回)
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