魔王が支配するRPGの世界。世界平和のために戦う戦士と魔導士が酒場で出会ったのは、謎の男「販売士」。
彼は数字を元にした戦略やモチベーションを上げる人の育て方など、新時代の戦い方を知る男であった。
はたして販売士は、この世界を救えるのか?!
前回までのお話はコチラ
冒険の仲間「販売士」による宿屋や武器屋への経営アドバイスが、すっかり好評となった戦士ら一行。
行く先々の町で、彼らの評判を聞きつけた店舗が、アドバイスを求めるのであった。
武器屋:これはこれは販売士さま!当店舗にお越しいただいて光栄です。
戦士:まるで伝説の勇者みたいな扱いだな(苦笑)
武器屋:ウチの店もぜひ「こんさる」していただけませんか?それなりに品揃えはいいんですが、どうもお客が入ってこなくって。
販売士:ふむふむ…おそらく「VMD」の問題でしょうね。パッと見た感じ、伝えたいお店の「イメージ」や「売り」がわかりにくいんですよきっと。
説明しよう。VMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)とは、売場における重点商品をどう主張するかという視覚効果や、どのように買ってもらうかという提案方法を具体化した、視覚面での品揃え政策を意味する。
魔導士:あ、それならわかるかも。見た目いい感じのお店って、ついつい私も入っちゃうもん。
戦士:そうかな?兜とか棚に綺麗に並べてあるじゃん。
販売士:ぜんぶ「ゴンドラ陳列」でやってしまってるのですね…整理には向いていますが、これでは商品ごとの特性が出ません。マネキンは使わないのですか?
魔導士:まねきん?あー鎧とかローブを着せてある人形のことね!わかる―。
販売士:鎧なんかは、置いてあるだけだと装着感がわかりにくいですから、着せ付けた方がいいですね。兜や剣とあわせての「コーディネート陳列」をしましょう。客単価が上がりますよ。戦士君、魔導士ちゃん、ぜひ手伝ってください。
陳列を手伝う戦士と魔導士の2人。現場の最前線で戦う本人たちだからこそ、「買いたい」と思える視点での陳列が、はかどるのであった。
戦士:色合いとか、そういうものは意識はしていたけど、店頭でそれを提案されていたとはな。俺は「漆黒の騎士」コーディネートをやってみた。クールだろ?
魔導士:陳列考えるの楽しいね!これどう?女性魔導士の間で流行してるピンクのローブとくまちゃんをあわせてみたの♪
販売士:お2人ともいい感じですね。「POP広告」でそのあたりのメッセージも伝えていきましょう。非計画購買を促すのに適していると言われています。
魔導士:あー、手書きで「店長オススメ」とか色々書くやつね。見たことある。
数日後、販売士らの活躍で賑わう武器屋であった。
旅人A:お、この武器屋、かっこいいな。
旅人B:ねえねえ、私もあのコーディネートで冒険に出たい!
魔導士:ふふ♪私の陳列したのが売れたよ!
戦士:俺たちがコーディネートした服を着た勇者が、世界を救ってくれたら自慢になるな。
販売士:個人的には「スーツ&メガネ」のコーディネートも売りたいのですが、それは平和な世の中が訪れたときにでもまた…。
「戦士・魔導士・販売士」の冒険は続く。
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戦士・魔導士・販売士(全12回)
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