魔王が支配するRPGの世界。世界平和のために戦う戦士と魔導士が酒場で出会ったのは、謎の男「販売士」。
彼は数字を元にした戦略やモチベーションを上げる人の育て方など、新時代の戦い方を知る男であった。
はたして販売士は、この世界を救えるのか?!
前回までのお話はコチラ
宿屋への経営アドバイスを終えた、戦士・魔導士・販売士の一行であった。
戦士:タダで泊めてもらったうえに、お金までもらっちゃった。なんだか悪いな~。
販売士:いえいえ。コンサル料は士業として当然の権利です。いただいておきましょう。
魔導士:せっかくの臨時収入なんだし、新しい武器とか防具とか買いに行こ!
この町の武器屋を物色する3人であったが、戦士は物足りなさそうである。
戦士:う~ん…やっぱり城下町にある大型店の方が種類多いよな…。
販売士:武器屋さん、ここのストアコンセプトはなんですか?
魔導士:すとあこんせぷと???お店の特徴ってこと?
武器屋:そうですね~。あえていうと盾の豊富さですかね。これとか軽くて使いやすいですよ。
戦士:お、アルミの盾!珍しいな。初めて見た。
販売士:ほうほう…であれば、「N&D型」の品揃えで行かれてはどうですか?品種はなるべく盾に集中して、盾の品目を充実させるんです。
説明しよう。商品構成の基本類型のうち、品揃えの幅(品種)を広げることをB型(Broad)、狭めることをN型(Narrow)と呼ぶ。
一方で、ある品種の中にある品揃えの奥行を深める(品種内のアイテム数を増やす)場合はD型(Deep)、浅くするのはS型(Shallow)と呼ぶ。
魔導士:剣とか鎧とかの品揃えは少なめにして、そのぶん盾の種類を増やせってことね。
武器屋:あ~それならウチの得意分野です。
販売士:無理に大型店と同じようなB型の品揃えを目指しても、バイングパワーで負けてしまいますし、お店の個性が出ません。であれば、得意なところに絞っていかれた方が特徴が出しやすいですよ。差別化戦略です。
戦士:へ~。「盾の品揃えが充実してる武器屋」っていう評判が流れれば、俺たちみたいな珍しい武器防具を探している戦士たちは、きっと遠くからでも足を運ぶだろうな。
経営のヒントを得て、満足した武器屋は、倉庫の奥から1枚の盾を引っ張りだしてきた。
武器屋:ありがとうございます。ぜひ今後ともご指南ください。これはほんのお礼です。
戦士:お、これってドラゴンの炎も防げる伝説の盾じゃないか…これってゲームのラストの方で、強い中ボスを倒してもらう防具じゃないのか?
魔導士:街の武器屋で普通にもらえちゃダメでしょ。チート入ってるじゃん(笑)
販売士:差別化戦略ここに極まれりですな。
「戦士・魔導士・販売士」の冒険は続く。
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戦士・魔導士・販売士(全12回)
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