これから、宅地建物取引士(以下宅建士と略称)とファイナンシャルプランナー3級技能士資格(以下FP3級と略称)の「ダブルライセンスの魅力」について、3回にわたってお話したいと思います。
ダブルライセンスとは、複数の資格を取得すること。資格はひとつでも十分に役立ちますが、さらにひとつ加わることによって、大きな相乗効果が発揮されます。
初回では宅建士がFP3級資格を保有することの実務上のメリットについて触れましょう。そこでまず宅建士の不動産業界での実務上の仕事や資格の性格を確認してみましょう。
不動産業界での実務の仕事と宅建士の資格
宅建士は、言うまでもなく不動産業界においてコンプライアンスの専門家で、その資格は国家資格です。宅建士でなければできない3つのお仕事といえば、重要事項説明と重要事項説明書・契約書面への記名押印です。これらは宅建士の専属業務とされています。
そして、平成27年に宅地建物取引主任者から宅地建物取引士へと資格の格上げがなされたことから、宅建士は、資格取得後も宅地建物の取引に係る事務に必要な知識や能力の維持向上に努めなければならないとされています。
このように、宅建士は不動産業界におけるコンプライアンスを図るうえで、まさに要となる資格であり、試験に合格した後も、自己啓発を通して自らの知識・能力の向上を図る必要があります。
また、多くのお客様からすれば、不動産の購入は一生に一度あるかないかの大きな買い物です。そうだとすれば、お客様の立場に立って考えるとき、お客様のトータルな人生設計を踏まえ、金融商品や保険商品など様々な資産全体の中で、不動産という資産について最適な提案をすることが求められます。
さらにお客様の年代に応じたライフプランのあり方は異なりますし、同じような年代でも家族構成からお勤めの場所まで、それぞれの置かれた環境はずいぶん異なります。中には相続対策として、不動産の購入を検討される方もいます。
このように考えてくると、不動産という資産だけを念頭に置いた提案では、「木を見て森を見ず」ということになりかねず、説得力に欠けるものとなりがちです。
宅建士がFP3級の資格を取得するメリット
そこで、こうしたライフプランニングや、金融・保険・不動産という多様な資産の運用設計についての知識の習得がどうしても必要となります。ライフプランニングの分野には、社会保険や公的年金のお話も含まれます。人間生きて行くうえで、相続や税金についての知識も不可欠ですね。
これらの分野の基本的な知識や考え方を習得できる資格、それがFP3級です。この資格は、現在国家資格となっており、日本FP協会と一般社団法人金融財政事情研究会の2つの団体が実施しています。
ファイナンシャルプランナー(FP)は税金・保険・年金などの幅広い知識と視野を持ち、お客さまの夢や希望を叶えるためのパーソナル・ファイナンシャル・プランニングを行うプロフェッショナルです。FPの入門的な資格である3級資格を取得することで、お客様へのより説得力のある提案能力が身に付くばかりか、ご自身の今後の人生設計においても大いに役立つことは間違いないでしょう。
宅建士の皆様に是非とも取得いただきたい資格としておすすめする理由です。
次回は、FP3級で習得できる具体的な知識と、それらの知識がどのようなビジネスシーンで役に立つか、という点により詳しく触れる予定です。次回もお楽しみに。
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