皆さんこんにちは!FP資格を活かした「独立系フリーランス」として活動している、川村秀俊です!
この連載「個人事業主におすすめ!FP資格」も早いもので、最終回を迎えました。今回は個人事業主の確定申告事情をお伝えするものですが、これまでの4回分の記事の復習もできるように書いてありますので、ぜひ前の記事も読んでみてくださいね!
ズバリ今回のポイントは、イマドキの「会計ソフト」と、「基本的な税金と会計の知識」です。
低額でも高性能!クラウド会計ソフト
私は以前、税理士事務所に勤務した経験があります。新卒で入社して、まず格闘することとなったのは会計ソフトの扱いでした。クライアントの確定申告の際、各種の税金や書類ごとにソフトを使いわけたり、必要な書類をすぐに出力できなかったりと、とても不便を感じました。
しかし技術の進歩とともに、税理士事務所で使っていた税理士向けの会計ソフトに遜色ない機能の会計ソフトが、次々と登場しています。
例えば、銀行口座やクレジットカードを会計ソフトと同期させるだけで、すべての明細を取り込んでくれます。そのうちの事業に関係するものだけを選んで登録すれば、これで帳簿の作成は終わりになります(ただし、それが正しく処理されているかどうかを判断するためには、簿記の知識が必要です)。
上記の機能は、個人事業主の確定申告にも十分使えます。また、会計ソフトによっては個人事業主として開業する際に必要な書類・青色申告の申請に必要な書類・確定申告の書類も、○×の質問に答えるだけで作成できるものがあります。
これだけは知っておこう!税金と会計の基礎知識
ここでは個人事業主のための税金と会計のお話をします。ここを知っているだけでも大幅に節税ができ、「会計ってこんな感じでも大丈夫なのだな」と安心できるはずです。
青色申告のメリット
個人事業主はもとより、副業で得た所得が一定金額を超える方は、1年間に得た収入金額と必要経費から確定申告をしなければなりません。申告は青色申告と白色申告から選ぶことができます。
青色申告は、不動産所得・事業所得・山林所得を生ずる業務を行う個人は、原則論になりますが業務開始の日から2ヵ月以内に「青色申告の承認申請書」を税務署長に提出すれば、様々な優遇措置を受けることができるという制度です。
ただし一定の帳簿と貸借対照表・損益計算書を作成する必要がありますが、上記の会計ソフトで簡単に作成できます。
優遇措置のメニューには以下のようなものがあります。
・10万円または65万円の青色申告特別控除(65万円の控除を受けるには要件あり)
・純損失の繰越しと繰戻し(事業で赤字を出したときに、損失を3年間繰越せる制度)
・青色事業専従者給与(家族に払う給与を必要経費にできるという制度)
青色申告のデメリット
青色申告にもデメリットはあります。特に個人事業主の方が困るケースを紹介しましょう。
青色申告に該当する所得であっても、「正規の簿記の原則に従った複式簿記」による帳簿を作成しなければ、65万円の大きい方の控除を受けることができません。
実は、原則の控除額は10万円なのですが、「しっかり会計をしている個人事業主」には65万円の優遇をしてくれるのです。
実際のところは、上記で紹介した会計ソフトを間違えず使っていれば、「しっかりした会計」の要件を満たす帳簿ができあがります。
そして大きなデメリットなので最後に紹介させていただきますが、会社員の方が副業をしていて青色申告の手続きをしている場合には、これまで雇用保険料をたくさん納めていたとしても、失業給付を受けられない可能性が高いのです。
「個人事業主もしているのだから、失業状態ではないでしょう。失業給付は失業状態にある人が受給できるのですよ」という理由です。
これには対策がありますので、詳しくは税理士や社会保険労務士などの専門家に相談するのがベターです。
いかがでしたでしょうか。今回の記事もなかなかボリュームがあったと思います。ポイントはやはり青色申告のしくみを良く知っているかどうかに尽きます。払わなくていい税金は極力節税して、納税のための資金に回しましょう。
まとめ|個人事業主にFP資格がおすすめの理由
全5回の連載を読んでいただき本当にありがとうございました。今回のテーマは確定申告でしたが、それにあえて副業をする場合の雇用保険上のリスクを追加しました。前回の記事でも指摘しましたが、個人事業主やフリーランスは自分自身が商品になります。
FP試験の勉強では、本当に様々な知識を学ぶことができます。
今回のテーマである確定申告であれば、「医療費控除の対象となる範囲はどれくらいか」、「事業で得た所得以外の所得はどのように計算すればよいか」、「自分を守ってくれる保険の種類はどのようなものがあるか」など、挙げればキリがありません。
そしてこうして得た知識は、皆さんのセールストークの材料にもすることができます。
常に自分を高めるために努力しなければ、自分の価値が上がることはありません。価値のないサービスにお金を払ってくれる、ありがたいクライアントはいるでしょうか?
それを考えていただきたく、今回の連載の内容を考えました。様々な知識を身に付け、皆さんがそれぞれの道で活躍することを祈念して筆を置きたいと思います。
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