連載「新社会人必見!FPに学ぶ保険の基本」では、公的な保険制度を始め、生命保険・損害保険、その他の保険を紹介してきました。新社会人の皆さん!自分が入るべき保険は見つかりましたか?
最終回のテーマは保険と税金です。ファイナンシャル・プランニング技能士(以下、FP)の資格を持つ筆者が、保険に入ると税金が安くなるしくみを解説します。
FPを学べば保険のことだけでなく、税金の話まで簡単に理解できるようになりますよ!
連載「新社会人必見!FPに学ぶ保険の基本」
- 1 そもそも保険とは?|公的保険と私的保険の違い
- 2 生命保険に入る前に知っておきたいこと
- 3 損害保険に入る前に知っておきたいこと
- 4 医療保険に入る前に知っておきたいこと
- 5 保険に入ると税金が安くなるしくみ
保険と税金の関係。会社員なら年末調整で手続きOK
保険に入ると保険料を払いますよね?それは公的な保険でも、私的な保険でも同じです。保険料を払うと、それだけお給料から手元に残るお金が少なくなりますね。
そこで保険料を払った分あるいは規定の金額を、控除(こうじょ)といって税金を安くしてもらえるしくみがあるのです。
よく勘違いされるのは、“控除される金額が直接引かれるわけではない”ということ。
保険料の控除は所得控除(税金額を計算するお給料の額を所得といいます)なので、保険料を年に4万円支払ったからといって、税金額から直接4万円引き!とは、残念ながらなりません。
保険料控除のしくみは以下の通りです。会社員の例で説明しましょう。
会社員の方はお給料から毎月天引きされて税金を納めています。これを源泉徴収といいます。
ですが、その1年間で支払った保険料があると、保険料の分を支払済みの税金から控除して再計算する手続きがあります。それが12月頃に行われる年末調整。
年末調整で1年間で支払った保険料の額を申請すると、税金の額が再計算され、払いすぎていた分が返ってくるというしくみになります。
年明けに会社から渡される源泉徴収票には、年末調整を行っている方なら保険料の控除額が記載されています。特に初めて年末調整を行う新社会人の方は、ちゃんと記載されているか確認してみてくださいね。
保険料控除をするとどれだけ税金が安くなるの?
お給料は多ければ多いほど嬉しいものですよね!しかし納税額を計算する場合は、課税対象となる給与が少ないほど有利になります。
納税額を計算する際は、計算する元となるお給料(課税所得)から支払った保険料を、規定額分差し引きします。
年間で払った保険料は、健康保険などの社会保険料なら全額が控除対象。生命保険や医療保険、個人年金保険などは控除できる上限額が決まっています。
なお「新制度」とあるのは、2012年1月1日以後の契約分に適用されます。
では簡単な例を挙げて、保険料控除をするといくら税金が安くなるのか計算してみましょう。
年収300万円、生命保険を毎月1万円(年間で12万円)支払っていて、扶養する家族等はいないとします。社会保険料は42万円で算出、その他の控除は考慮しないものとします。次の表を見てください。
保険料控除を行うと納税額に2,000円の差が出ました。保険料控除を行うとお得になることがわかりますね。
払う税金は少しでも減らせるなら減らしたいもの。保険を契約する際は、この保険料控除のしくみも頭に入れておきましょう。
社会人になる前に知りたかったお金の知識をFPで学べる!
保険や税金といった話は学校ではほとんど教えてくれません。
ですが社会人として生活していく上で重要な知識となります。知らないと損をしたり苦労したりすることばかりです。
お金の知識を身に付けるなら、できるだけ早いに越したことありません。
筆者も結婚して主婦になってから初めてFPの勉強をしました。しかし勉強すればするほど、なぜもっと早くに知らなかったのだろうと後悔することばかり。
実際私が社会人になって初めて加入した保険も、無駄な保障をつけすぎて保険料も高く、お給料が全然残らなかったという苦い経験もあります。
FPを学ぶと私的な保険のしくみだけではなく、公的な制度も学ぶことができます。
保険への加入を初めて検討する時に大切なことは、「公的な保障はあるか?私的な保険で補うべき不足分はいくらなのか?」という考え方。
ですが多くの日本人はこのような考え方を知らず(誰も教えてくれないですからね!)無駄な保障をつけてしまいがち。
過不足なく適切に保険へ入ることができれば、大切なお給料をもっと他のことに使うことができますよ。
5回に渡り、新社会人が知っておくべき保険のシステムについてお伝えしました。
保険や税金のことなど、FP3級で勉強することは実生活に直結することばかり。初めてFPを学習する人でも自分のことに置き換えて考えられるので学習しやすいですよ。
FP3級試験は年3回実施されており、数ヵ月の学習で合格可能です。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
参考URL:
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/pdf/h30/23100051-01.pdf
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