● ミニテスト 「民法等」
民法等(権利関係)で特に出題頻度の高い分野の○×問題です。次の記述について正しい場合は○、誤っている場合は×をつけてください。目標点は20問中14問です。
※解答・解説はページ下部に記載しています
意思表示
【問題1】 Cが、AB間の契約が通謀虚偽表示によるものとの事情につき善意無過失で、Bからこの土地の譲渡を受けた場合は、所有権移転登記を受けていないときでも、Cは、Aに対して、その所有権を主張することができる。( )
行為能力
【問題2】 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。( )
【問題3】 被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。( )
債務不履行
【問題4】 売主が、買主の代金不払を理由として売買契約を解除した場合には、売買契約はさかのぼって消滅するので、売主は買主に対して損害賠償請求はできない。( )
契約の解除
【問題5】 AB間で甲建物の売買契約が成立し、AからBへの所有権移転登記が行われた。その後、BがBの債権者Cとの間で甲建物につき抵当権設定契約を締結し、その設定登記をした後、AがAB間の売買契約を適法に解除した場合、Aはその抵当権の消滅をCに主張できない。( )
手付
【問題6】 AがBに対し解約手付を交付し、Aが手付金の放棄により売買契約を解除した場合で、Aに債務不履行はなかったが、Bが手付の額を超える額の損害を受けたことを立証できるとき、Bは、その損害全部の賠償を請求することができる。( )
売主の担保責任
【問題7】 売買契約に、隠れた瑕疵についての売主の瑕疵担保責任を全部免責する旨の特約が規定されていても、売主が知りながら、買主に告げなかった瑕疵については、売主は瑕疵担保責任を負わなければならない。( )
危険負担
【問題8】 建物が売主の引渡し前に、買主の責に帰すべき火災により滅失した場合、売主の建物引渡し債務も、買主の代金支払債務も共に消滅する。( )
代理
【問題9】 Bから代理権を授与されたAが、Bの名を示さずCと売買契約を締結した場合でも、Aは代理権に基づいてCと契約しているので、原則として、売買契約はBC間で成立する。( )
無権代理
【問題10】 Bが何らの代理権限がないにも関わらず、Aの代理人と称してA所有の土地をCに売却する旨の契約を締結した場合において、Aは、意外に高価で売れたのでCから代金を貰いたいというときは、直接Cに対して追認することができる。( )
時効
【問題11】 Bが期間を定めずAから土地を借りて利用していた場合、Bの占有が20年を超えれば、Bは取得時効を主張して土地の所有権を取得することができる。( )
債権譲渡
【問題12】 Aが、Bに対して有する債権につき、CとDに二重に譲渡し、Cへの譲渡については確定日付のない証書、Dへの譲渡については確定日付のある証書によってBに通知した場合で、いずれの通知も当該債権の弁済前に到達したとき、Bへの通知の到達の先後にかかわらず、DがCに優先して権利を行使することができる。( )
債権の消滅
【問題13】 AがBに対して代金債権を有している場合、Bの親友Cが、Aに直接代金の支払いを済ませても、それがBの意思に反する弁済である場合には、Bの代金債務は消滅しない。( )
連帯債務
【問題14】 AとBとが、負担部分を平等として、Cに対して2,000万円の連帯債務を負う場合、Cは、Aに対して2,000万円の支払を請求すると、それと同時には、Bに対しては、全く請求をすることができない。( )
保証債務
【問題15】 Cの保証債務に債務者Bと連帯して債務を負担する特約がない場合、債権者AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、Cは、Bに弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することによって、Aの請求を拒むことができる。( )
委任
【問題16】 委託の受任者は、報酬を受けて受任する場合も、無報酬で受任する場合も、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。( )
請負
【問題17】 請負契約の目的物たる建物に瑕疵がある場合、瑕疵の修補が可能であれば、注文者Aは請負人Bに対して損害賠償請求を行う前に、瑕疵の修補を請求しなければならない。( )
不法行為等
【問題18】 Aの被用者Bの不法行為が、Bの職務行為そのものには属しない場合でも、その行為の外形から判断して、Bの職務の範囲内に属すると認められるときは、使用者Aは、被害者Cに対して使用者責任を負うことがある。( )
物権変動の対抗要件
【問題19】 取得時効の完成により甲不動産の所有権を適法に取得したAは、その旨を登記しなければ、時効完成後に甲不動産を旧所有者から取得して所有権移転登記を経た第三者Bに所有権を対抗できない。( )
共有
【問題20】 A・B・Cが各3分の1の持分で建物を共有している場合、Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に関する自己の共有持分を売却することはできない。( )
●ミニテスト 「民法等」 解答・解説
【問題1・解答】 ○ 正しい記述です。
通謀虚偽表示による売買契約は無効です。ですが、この無効は、善意の第三者には主張することができません。また、善意の第三者は、通謀虚偽表示の当事者に所有権を主張するために、登記を受けている必要性もありません。
【問題2・解答】 ○ 正しい記述です。
成年後見制度は、「事理を弁織する能力を欠く常況(日常ほとんどこの状態であることを「常況」といいます)」にある成年被後見人を保護するための制度です。たとえ、成年被後見人が事理を弁織できる状態である時に行われた法律行為でも、成年被後見人が行った法律行為は、取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、取り消すことができないとされています。
【問題3・解答】 × 制限行為能力者が、自分は行為能力者であるとか、制限行為能力者ではあるが法定代理人の同意を得ているなど、詐術を用いて、法律行為の相手方の信頼を得たような場合、その法律行為を取り消すことはできません。
【問題4・解答】 × 売買契約を解除した場合、契約はさかのぼって消滅するとの記述は正しいものですが、契約の当事者に損害が発生していれば、損害賠償請求はできます。
【問題5・回答】 ○ 正しい記述です。
問題文から見て、AB間の売買契約が成立した後に、BC間の抵当権設定契約が締結されていることがわかります。この場合、AB間の売買契約が解除されると、解除前に契約した第三者Cは登記という対抗要件を備えた権利を害されることになります。この点について民法は、契約の解除によっても第三者の権利を害することはできないと規定しています。したがって、AはAB間の契約の解除による抵当権の消滅を主張できません。
【問題6・解答】 × 原則として、解約手付による契約の解除をされた場合には、仮に解除によって自分が手付額以上の損害を受け、その損害の発生を立証したとしても、損害賠償の請求をすることはできません。ただし、例外として、特約があれば、損害賠償の請求をすることも可能です。
【問題7・解答】 ○ 正しい記述です。
売主の瑕疵担保責任については、契約時に特約で排除、つまり、「隠れた瑕疵があっても売主は責任を負いません。」という特約を結ぶこともできます。ですが、このような特約を結んだ場合でも、売主が契約の事前に知っていた瑕疵については、買主は売主にその瑕疵を担保する責任を追及できます。
【問題8・解答】 × 買主の責任で引渡し前に売買の目的物が失くなってしまった場合、売主に帰責性はないので、建物引渡しの債務を免れます。しかし、買主は自分の責任で目的物を失ってしまった訳ですから、代金債務を免れることはできません。
【問題9・解答】 × 代理人が本人の名を顕かにしなかった(「顕名」を行わなかった)場合の契約は、「顕名」を行わなかった代理人と相手方の間で直接契約が結ばれたものとみなされます。本問の場合、AはBの代理人であることを顕かにしていませんので、原則として、契約はAC間で成立することになります。
【問題10・解答】 ○ 正しい記述です。
無権代理行為があった場合、原則として、その法律行為の効果は本人には及びません。ですが、その無権代理行為に表見代理が成立する場合や、本人がその無権代理行為を追認した場合には、無権代理行為であっても、本人に法律行為の効果が帰属することになります。
【問題11・解答】 × 所有権の取得時効が成立するためには、「占有者が所有の意思をもって」占有しなければなりません。本問のように賃貸借契約などの権限によって占有を開始した場合には、「所有の意思をもって」とは認められませんので、所有権の取得時効は成立しません。
【問題12・解答】 ○ 正しい記述です。
本問の場合、譲渡人Aから債務者Bに対する通知について、Cに対する譲渡を証した通知には確定日付がなく、Dに対する譲渡を証した通知には確定日付があると記されています。この場合、債務者Bに対して真実の債権者であると主張できるのは、Dということになります。また、Dは第三者Cに対しても、自己が債権者である旨を主張することができます。
【問題13・解答】 ○ 正しい記述です。
金銭債務の場合、第三者もその債務の弁済をすることができますが、その弁済が債務者の意思に反するときには、原則として、第三者は弁済をすることができません。例外として、保証人等の利害関係人は、債務者の意思に反しても弁済をすることができます。したがって、本問のCは、Bの友人であるとの関係だけですので、利害関係人とは判断されず、Cの弁済がBの意思に反しているときには、弁済としての効力を有さず、Bの代金債務は消滅しません。
【問題14・解答】 × 数人が連帯して債務を負う場合、「債権者は、債務者の1人に対して、または、同時にもしくは順次に全員に対して、債務の全部または一部の履行を請求すること」ができます。したがって、CはAに対して債権全額の請求をしたとしても、Bに対しても、同時にでも別々にでも、債権全額でも一部についてでも請求をすることができます。
【問題15・解答】 ○ 正しい記述です。
保証債務が連帯保証ではない場合、保証人が債権者から履行の請求の受けたとしても、「主たる債務者に弁済の資力があり、かつ、執行が容易なことを保証人が証明」すれば、債権者は、主たる債務者の財産について執行をしなければなりません。これを検索の抗弁権といいます。
本問の場合、Cが、Bに弁済の資力があって執行が容易であることを証明すれば、AはBに対して請求したり、強制執行の手続きを取ったりしなければなりません。これによって、BはAの請求を拒否することができます。
【問題16・解答】 ○ 正しい記述です。
委任契約の場合、受任者は、報酬の有る無しに関わらず、「善良な管理者としての注意をもって委任事務を処理しなければならない」と定められています。
【問題17・解答】 × 請負契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者は、原則として、瑕疵の修補請求をすることができます。そして、注文者はこの修補請求に代えて、またはその修補とともに、損害賠償の請求をすることもできます。したがって、注文者は、修補の請求をすることなく損害賠償を請求することができます。また、修補とともに損害賠償を請求するときでも、先に瑕疵の修補請求をしなければならないわけではありません。
【問題18・解答】 ○ 正しい記述です。
被用者の不法行為が、外形的に見て客観的に職務行為に該当すると判断されるときには、被害者が被用者の行為が職務行為でないことを知っていた、もしくは、職務行為でないことを重過失により知らなかった場合(悪意・重過失)等を除いて、使用者は被害者に対して責任を負うものとされています。
【問題19・解答】 ○ 正しい記述です。
土地について取得時効が完成した場合、時効により利益を受ける者(占有者)は、時効を援用することで所有権を取得することができます。このとき時効完成の後に、旧所有者から売買等により所有権を取得した第三者が発生した場合、時効により利益を受ける者と第三者は対抗関係となり、登記を先に受けた方が所有権を主張することができます。したがって、本問では、Aは取得時効により適法に所有権を取得した(時効を援用した)後に、登記をしなければ、甲不動産につき旧所有者から所有権移転登記を受けた第三者Bに所有権を主張することはできません。
【問題20・解答】 × 共有物の共有持分の処分(売却等)は、他の共有者の許可や同意を必要とせず、原則として、自由に行なうことができます。
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