みなさんこんにちは。「試験直前予想!これだけは押さえる鉄板論点」の第4回は、「企業活動に関する法規制」の分野から、「独占禁止法」を取り上げます。
独占禁止法の禁止対象となる行為は、「私的独占」、「不当な取引制限」、「不公正な取引方法」の3つです。出題頻度としては3つとも同じくらいですが、直近だけでみると、「不公正な取引方法」に関する出題が若干多い感じです。
今回は、上記の3つについての「鉄板過去問」と、不当な取引制限と不公正な取引方法に関する「予想問題」をみていきます。
鉄板過去問にトライしよう!
鉄板過去問は以下の3つです。
鉄板過去問
① ある事業者が他の事業者の事業活動を排除しまたは支配することにより、公共の利益に反して一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為は、私的独占として独占禁止法に違反する。(第37回第6問ウ②,第35回第1問ア,第34回第2問2-1)② 事業者が、他の事業者との間で、商品の販売価格を共通の価格算定方法で算出する旨の協定を締結し、その算定方法に従って算出された価格で商品を販売する行為は、不当な取引制限に該当しない。(第35回第3問オ①,第34回第2問2-1)③ 日用雑貨の製造会社であるA社は、A社から購入した製品を消費者に販売している小売店Bに対し、正当な理由がないのに、消費者に対するA社製品の販売価格を指定しその価格で販売することをBに強制した。この場合のA社の行為は、再販売価格の拘束には該当せず、独占禁止法に違反することはない。(第39回第6問オ,第38回第3問オ④,第32回第3問オ④)
① ○ → 「私的独占」とは、まさに本肢のようなことをいう。問題によって多少言い回しが異なるが、事業者の事業活動を「排除する」、「支配する」、「市場から締め出す」という言葉がキーワードなので押さえること。
② × → 「不当な取引制限」とは、「事業者同士」が「協定」に基づき相互に事業活動を「拘束(遂行)する」ことによって、取引分野における競争を実質的に制限することをいう。本肢では、事業者同士が協定の算定方法に従った価格で商品を販売している(販売を遂行している)ので、不当な取引制限に当たるということになる。
③ × → 「不公正な取引方法」のうち、“再販売価格の拘束”に関する問題。「メーカー」が商品の供給先である「小売業者」に対し、「指定した販売価格を強制する場合」は、再販売価格の拘束に該当する。
上記の過去問は一例にすぎず、毎回一言一句、同じ問題が出題されているわけではありません。しかし、言い回しが異なっていても、問われている内容は同じです。出題された問題が、各キーワードに当たるかどうかを考えれば答えが出せます。「私的独占」、「不当な取引制限」、「不公正な取引方法」についてはもう一度テキストでキーワードを確認しておきましょう。
なお、「不公正な取引方法」の態様では、上記の“再販売価格の拘束”のほか、“不当廉売”、“排他条件付取引”、“優越的地位の濫用”が試験ではよく出題されます。以下、予想問題では“不当廉売”について見ていきますが、排他条件付取引(第37回第6問ウ③で出題)と、優越的地位の濫用(第38回第3問オ②で出題)についても要確認です。
予想問題にチャレンジしよう!
それでは最後に予想問題をみておきましょう。
予想問題
① 資材甲の供給業者A社が、同業他社のB社と協定を結び、甲の供給価格を現在の価格より引き上げる行為は、独占禁止法に違反するが、甲の供給価格を引き下げる行為は独占禁止法に違反しない。
② 事業者が、市場におけるシェアの拡大を目的として、製造原価を大幅に下回る価格で自社製品の販売を継続した結果、競合他社の販売活動が困難になった。当該行為は不当廉売として不公正な取引方法に当たる。
① × → 事業者同士が、協定で販売価格を決定し、協定に基づいて販売すれば、不当な取引制限にあたるので、価格自体が高いか安いかは問題にならない。
② ○ → 「不公正な取引方法」のうち、“不当廉売”のキーワードは、「大幅に下回る価格」での「販売の継続」です。
最後に、その他の論点として、“不公正な取引方法の場合以外は事業者に刑事罰が科される点”、その場合に“違反をした従業員だけでなくその企業にも刑事罰が科される点”を押さえておいてください。
さて、次回は取引に関する法規制の中でも「消費者の保護」の分野をみていくことにします。
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