皆さん、こんにちは!
この連載では、知名度上昇中のFP2級の勉強法について、全7回にわたりご紹介していきます。第5回のテーマは試験科目のうち、税金を取り扱う「タックスプランニング」の勉強法についてです。
ちなみに筆者はタバコとお酒が大好きなので、消費税以外はタバコと酒税くらいしか税金を知りませんでした。テキストを開いてから「税金ってこんなに複雑なの?」と頭を抱えた記憶があります。
皆さんにとってもタックスプランニングは1つの壁になるかもしれませんが、一緒に確認していきましょう。
「タックスプランニング」FP3級と2級ではどう違う?
「タックスプランニング」は、FP3級では税制のしくみと個人に対する税金を扱いましたが、2級では加えて法人にかかる税金についても扱います。
とはいえ、メインは所得税。所得税に関する出題が非常に多いため、まずは所得税をしっかり把握するところが効率的な勉強法でしょう。
2級になると、出題方法も細かく問われるようになります。例えば不動産所得についての問題をみると、3級では、
所得税において、事業的規模で行われている賃貸マンションの貸付による所得は、()に該当する。
1.不動産所得 2.事業所得 3.給与所得
(出典:2019年1月3級学科試験 第2問(46))
と概要を理解しておけば解けますが、2級では
所得税の各種所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.定年退職時に退職手当として一時金を受け取ったことによる所得は、退職所得となる。
2.個人事業主が事業資金で購入した株式の配当金を受け取ったことによる所得は、配当所得となる。
3.個人事業主が事業の用に供していた営業用車両を売却したことによる所得は、譲渡所得となる。
4.事業的規模で不動産の貸付けを行い、賃貸料を受け取ったことによる所得は、事業所得となる。 (出典:2019年9月2級学科試験 問33)
このように4択で出題されるため、1問でより幅広い知識が求められますし、あいまいに覚えていると引っ掛かって間違う可能性があるので注意が必要です。
「タックスプランニング」で登場する税務に関する知識は、先の「金融資産運用」や後ほどご紹介する「不動産」、「相続・事業承継」にも関わってきますので、ここでしっかりと理解しておくと勉強がスムーズに進みます。
FP2級の学習ポイント① 混乱注意!所得税と所得控除
筆者はタックスプランニングの「所得税」に関するページを開いたとき、あまりにも内容が理解できずに何度もページを閉じた経験があります。
所得といえば給与所得だけと思ったら、退職所得や山林所得など合計で10種類の所得があるのです。その所得から損益通算や所得控除(14種類!)などを通じて税額を計算するのですから、種類がありすぎて混乱しがちな内容ですよね。
とはいえ、所得税に関する問題は頻出するのでとても重要です。筆者もFP2級の勉強時に何度も過去問を解きましたが、所得税にまつわる出題が多くありました。
所得税の勉強法は暗記だけではなく、「流れやしくみを理解」することです。
そもそも所得税の計算をなぜ行うのかというと、正しく納税を行うためです。会社員の場合、会社が年末調整で計算してくれるので馴染みが薄いかもしれませんが、自営業の方や会社員も、年末調整で計算できない所得や税金の控除がある場合には自分で納税することが必要になります。確定申告を行うためのステップを正しく理解することが大切な勉強法です。
1. 所得の種類ごとに、それぞれの所得額を把握する
給与所得や山林所得など、所得の種類を種類ごとに分けてそれぞれの所得が〇円あったか?を正しく把握します。
2.各所得金額を合算して、課税標準を計算
上記の所得ごとに分けた所得額の損益通算、繰越控除を行います。一言でいえば所得額の合算ということですね。
3.課税標準から所得控除を行う(課税所得金額を求める)
所得額を合算したら、そこから基礎控除や配偶者控除などの「所得控除」を行います。
4.課税所得金額に税率をかけて所得税額を求めて、最後に税額控除を差し引く
課税所得金額ごとに応じた税率をかけて、最後に税額控除を行います。所得控除と税額控除は勘違いしやすいので、
所得-所得控除=課税所得金額
課税所得金額-税額控除=申告納税額
こうしたイメージを持っておきましょう。
過去にFP2級の試験問題では、所得税の内容だけでなく、このような所得税に関する一連の動作や流れ自体が出題されることもありました。基礎としてしっかり計算の流れをつかむことがポイントです。
FP2級の学習ポイント② FP3級には無かった「法人税」
FP2級から新たに出てくる項目が法人税等で、これは会社の所得に対する税金となります。この項目で大切なのは「益金と損金の算入、不算入」、法人税の税率や申告方法を押さえておくこと。
ところで利益が多いと税金も多くなるという話を聞いたことはありませんか?利益に対して〇%と課せられるので、利益が大きければ支払う税金額も増えてしまうのです。
益金と損金の算入や不算入はわかりにくいのですが、ここで企業の気持ちになって考えてみましょう。
益金算入…会計上は収益ではないが、税法上は益金(収益)扱いされるもの(テストでは何が益金算入か?という内容まではあまり出ません)
→利益が上がるから、税金が上がる。残念な気持ちになりますね。
益金不算入…会計上は収益だが、税法上は益金(収益)扱いされない(受取配当金など※)
→収益はあったけど、その収益に対して税金は発生しない。嬉しいですね。
※受取配当金については二重課税を防ぐ目的と覚えておきましょう。
損金算入…会計上は原則費用ではないが、税法上は費用(損金)として認められる。(交際費、法人事業税※など)
→費用扱いされるから、利益が下がる→税金も下がって嬉しいですね。
※法人税、法人住民税は損金不算入です。
損金不算入→会計上は費用だが、税法上は費用(損金)として認められないもの(罰金や不当に高額な役員報酬※など)
=費用扱いされないから、利益が上がる→税金が上がってしまいます。残念ですね。
※不当に高い役員報酬を払って費用扱いにしたら、支払う税金も下がるし会社の上層部だけが美味しい思いをしてしまいますよね。それを防ぐためのルールです。
法人税の勉強法はこのように企業の気持ちになって、損益と益金を考えることで自然とテキストの内容をインプットできるようになります。
今回はFP2級の試験科目の1つ「タックスプランニング」について、勉強法をご紹介しました。
タックスプランニングで頻出する「所得税」の勉強法は、流れとしくみを理解すること。自分がどのステップの計算をしているのか、それがわかるだけでも、その後の内容がスムーズに頭に入ってきますよ。
法人税についても、企業の立場で物事を考えると、「税金のしくみはよくできてるな~」と思うことが多くあります。流れとしくみが理解できれば、勉強も楽しくなるはずです。
次回は「不動産」について、勉強法をご紹介します。ぜひご覧ください。
FP2級講座参考URL:
https://www.jafp.or.jp/exam/mohan/files/g3_201901_q.pdf
https://www.jafp.or.jp/exam/mohan/files/g2_201909_q.pdf
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