「株式」というと「怖い」「ギャンブル」「初心者にはムリ」というイメージを持っている方が多いと思います。
確かに株式投資の対象になる上場会社は3,000社以上もあって、金融商品の初心者には難しいと思われるかもしれませんね。
しかし実は株式投資をするとは株主になること、つまり企業の共同オーナーになることなのです。
ですから自分が好きな企業を、「この会社は将来伸びていくかもしれない」と応援する気持ちで始めればOK。
普段使っている携帯電話会社、お気に入りのメイク用品や柔軟剤を作っている会社を対象にすればよいのです。
ただ、少しだけルールを覚えなければいけないのも事実。そこで今回はそんな「株式」の
- お金が増えるしくみ
- 株式投資の始め方
- 株式投資のメリットとデメリット
などについて、FP(ファイナンシャルプランナー)の筆者が詳しく解説します。
金融商品の初心者にはハードルが高いと思われがちなテーマですが、理解してしまえば大きな武器となります。ぜひ最後までお付き合いください。
FPが教える基本の資産運用商品(全7回)
株式投資でお金が増えるしくみ
利益を得る方法は2つ!キャピタルゲインとインカムゲイン
株式投資で利益を得る方法には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2つの方法があります。
キャピタルゲインとは?
あなたが企業の株式を購入したあと、その企業の業績が好調で株価が上昇したとします。
十分に値上がりしたと思ったら株式を売却します。
この株価が上昇した分の利益を「値上がり益=キャピタルゲイン」といいます。
例えば1株500円で購入した株が値上がりして1株1,000円で売却したとすると、500円がキャピタルゲインとなります。
インカムゲインとは?
冒頭で説明したとおり、株主であるあなたは企業の共同オーナーです。
そのため株式を売却せずに保有し続けていると、企業があげた利益の分け前をもらうことができます。これが「配当金=インカムゲイン」です。
通常は年に1回か2回の配当があります。
ただし利益が出ていない企業は当然のことながら配当はありません。
インフレに最も強い金融商品
連載第1回で、「使わなくてもお金は減る」というインフレの怖さについて解説しました。
このインフレに強い金融商品と言われているのが「株式」です。
インフレで物価がアップ
↓
すると企業の売上がアップ
↓
企業の利益がアップ
↓
株価がアップ
というわけです。
自分のお財布を守るためには、金融商品の初心者であっても「株式」に注目するべき理由がここにあります。
企業からのプレゼント「株主優待」
皆さんもお世話になっている人にお中元やお歳暮、プレゼントなどを送ったりしますよね。
各企業も自分の会社の共同オーナーである株主に感謝の気持ちを込めてプレゼントを送ります。それが「株主優待」です。一例をあげますと、
- 航空会社の搭乗割引券
- ファミリーレストランチェーンのお食事券
- 遊園地の1Dayパスポート
などがもらえたりします。
この株主優待を目的に株の銘柄を選ぶ、というのも当然アリです。
株式投資の始め方
口座を開設する
株を購入するためには証券会社に口座を開設する必要があります。
現在はネット証券が一般的になってきており、取引手数料も安いため初心者にもおすすめです。
証券会社のホームページから口座開設の手続きをすれば、1週間ほどでIDとパスワードが届き、株の売買ができるようになります。
いくらあれば始められる?
1株3,000円の株を買おうと思って3,000円を出しても株を購入することはできません。
株には「これくらいはまとめて買ってくださいよ」というルールがあるからなのです。
単元株
株を売買できる一定量のことを「単元株(たんげんかぶ)」といいます。
この単元は各企業が自由に設定することができます。
1株単位の企業もありますし、100株、1,000株単位のところもあります。
例えば先程の1株3,000円の企業の単元株が100株だった場合、売買するために最低限必要な金額は、3,000円×100=300,000円ということになります。
ミニ株
「うわ!30万円も必要なのか。やっぱり初心者には株はムリ」と思われるかもしれませんが、安心してください、そんなあなたには「ミニ株」を利用するという手があります。
ミニ株とは単元株の10分の1単位で売買できる制度でしたが、今では各証券会社が1株から購入できるサービスを行っています。
つまり1株3,000円から株式投資ができるのです。これなら金融商品初心者でも気軽に始めることができますね。
ただこのミニ株、キャピタルゲイン、インカムゲインは得られますが、株主優待を受けることはできません。
株主優待は単元株単位で行われるので、株主優待を受けたい場合は単元株に達するまで買い足さなくてはいけません。
株式投資のメリットとデメリット
メリット
- 小さな資金で大きな利益を得られる可能性がある
- キャピタルゲイン、インカムゲイン、株主優待と利益を得る方法がいろいろある。
- インフレに強い
デメリット
- 株を買った企業が倒産してしまうと、資産価値はゼロになってしまう
- 値下がりのリスクがあるので、元本保証はされない
少額でもよいので株を買うと金融商品全体の勉強になる
元本保証がないなど、確かに「株式」にはリスクがあります。
しかしミニ株などを利用してほんの少しだけでも株式を保有してみてください。
まず購入した企業のことが気になり始めます。
すると新聞やネットの経済欄をチェックするようになります。
現在の企業の業績は1社だけでは決まらないので、同業他社や国内の経済状況、為替なども調べ始めるようになるのです。
金融商品の初心者でも、自分で株式を保有することで、自主的にどんどん学習し、必ず詳しくなっていきます。
他の金融商品を検討する時に武器となる知識を身に付けることができるので、自分が初心者という自覚のある人ほど、株式の保有を検討してみてください。
また、このような知識はFP3級を学ぶと手に入ります。今回お読みいただき「金融商品のことをもっと知りたい」と思った方は、FP3級を勉強してみるのもおすすめですよ。
今回は企業のオーナーとなる「株式」のお話でしたが、次回は国や企業にお金を貸す「債券」という金融商品について詳しく解説します。
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