前回までにご紹介してきた「預貯金」「株式」「債券」「投資信託」はすべて、日本円をベースにした金融商品でした。
しかし当然のことながら外国にも預貯金や株式、債券は存在します。
特に超低金利政策の影響で国内では絶望的にお金が増えない「預貯金」も、日本より金利の高い外国では魅力的な金融商品の1つです。
ただ日本では、ファッションや雑貨、食べ物などは輸入品も大人気なのに、「外貨建ての金融商品」は人気がイマイチでした。
金融商品の初心者の方は「なんとなく怖そうだから」と思ってしまうのが、外貨建て金融商品の人気がいまひとつである理由のようですが、正しい知識があれば他の輸入品と同じく魅力がいっぱいです。
そこで今回はそんな「外貨建て商品」の
- 外貨建て商品とは?
- 為替レートや為替リスクのお話
- 円高・円安 どっちがどっち?
- 外貨建て商品のメリット・デメリット
などについて、FP(ファイナンシャルプランナー)の筆者が詳しく解説します。
外貨建て商品の知識があれば、資産運用の幅が一気に拡がりますよ。ぜひ最後までお付き合いください。
FPが教える基本の資産運用商品(全7回)
上手に付き合えばリターンも大きい外貨建て商品
外貨建て商品とは
外貨建て商品とは、海外の預金や債券、株式などに投資する商品です。
日本円以外の通貨で運用するため、金融商品価格の上下のほか、為替レートによって円ベースの価格も変わってきます。
為替レートとは
「今日の為替は1ドル=114円でした」という言葉をよくニュースで耳にしますが、あれが為替レートです。
通貨と通貨の交換比率のことを為替レートといいます。
為替リスクでせっかくの高金利・高利息が吹き飛ぶ可能性も
日本では超低金利時代が続いていますが、海外では高金利の国もあります。
そこで外貨建て商品が注目されるわけですが、為替のリスクを考えておかないと思わぬ大損をしてしまう可能性があります。
せっかく高金利でお金が増えても、大幅に円高になれば、増えたお金が吹き飛んでしまうのです。
円高と円安がわからない
円高と円安が混乱してよくわからない、という初心者の方の声をよく耳にします。 わかりやすくするためには「向き」を考えることが重要です。
まず米ドルと円の場合ならアメリカ(米ドル)方面に向きます。
1ドル=80円の時はアメリカに80円出せば1ドルもらえました。
しかし1ドル=120円になると、アメリカに120円出さなくては1ドルもらえません。
「ドル、高!」と思いますよね。
これを逆にアメリカから日本に「向いて」見てみると「円、安!」となるわけです。
1ドル=80円が、1ドル=120円になるのは「円安」ということが、わかっていただけたでしょうか。
先程の為替リスクのお話でいうと、1ドル=100円の時に100万円を外貨預金したとします。1万ドルになりますね。
これが高利息で11,000ドルに増えたとします。
1ドル=100円のままなら110万円に増えていますが、これが1ドル=80円の円高になっていたとしたらどうでしょう。
88万円と、最初の100万円より減ってしまっているのです。これが為替リスクです。
外貨建て商品のメリット・デメリット
メリット
預貯金の場合日本より利息が高いことや、株なども値動きが大きく、大きなリターンが得られる場合がある。
デメリット
為替リスクがある
外貨建て商品の種類
外貨預金
外貨で行う預金です。しくみ自体は円での預貯金と変わりません。
ただペイオフの対象にはならないので、金融機関が破綻した場合はお金が戻ってきません。
外国株式
外国の企業の株式を売買します。取引をするには証券会社に外国証券取引口座を開設する必要があります。
外国債券
発行場所、発行者、通貨のいずれかが外国のものである債券を取引するものです。
外国投資信託
ファンドの国籍が外国にあるもので、外国の法律に基づいて設定される投資信託です。
外国為替証拠金取引(FX)
日本でも一般的となっている外国通貨の売買をするものです。
レバレッジ(テコの原理)と呼ばれる、手持ちの金額の何倍もの取引ができるしくみがあるので大きなリターンが得られる可能性がありますが、逆にいうと大きな損失を被る可能性もあります。
そのため金融商品の初心者の方にはあまりおすすめできません。
金融商品初心者の方こそ外貨建て商品の勉強が必要
金融商品初心者の方でも、「アメリカで大きな出来事があると、日本の株が下がったり、円高になったりするなあ」となんとなく感じているはずです。
これはグローバル化が進んだ今日では、日本の経済も様々な国との関係性によって大きく左右されるようになっているからです。
そのため外貨建て商品を購入したり勉強したりすることによって、国内の金融商品のことがより理解できるようになるのです。
為替リスクもあるので初心者の方に資産の多くを外貨建て商品に振りわけるのはおすすめしませんが、勉強も兼ねてまずは少し試してみるのはいかがでしょうか。
世界情勢を気にする姿勢が自然に身に付き、あなたの資産運用の力強い味方になってくれるはずです。
また、このような知識は、FP3級を学ぶともっとわかりやすくなります。今回お読みいただき「金融商品のことをもっと知りたい」と思った方は、FP3級を勉強してみるのもおすすめですよ。
次回はこの連載の最終回。「保険商品」について詳しく解説します。
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