TAC宅建士講座の才間と申します。
連載「これだけは押さえよう!宅建直前期重要論点(全10回)」、第3回も引き続き、権利関係の重要論点について取り上げます。
権利関係重要論点⑤「相続」
勉強のポイント
★代理と同じく、過去問の標準レベルの問題は幅広く解いておいてほしいところです。
問題をやってみましょう。
※一問一答形式です。
(1) 適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合、前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により撤回したものとみなされる。
(2) Aには、相続人となる子BとCがいる。Aは、Cに老後の面倒をみてもらっているので、「甲土地を含む全資産をCに相続させる」旨の有効な遺言をした。Bの遺留分を侵害するAの遺言は、その限度で当然に無効である。
以下、回答です。
(1) ○ 遺言者の「最後の意思」を尊重するためにも、前の遺言のうち、後の遺言と抵触する(矛盾する、ということ)部分は、後の遺言で撤回したものとみなされます。
(2) × 少々ややこしいのですが、「遺留分を侵害された相続人には、遺留分減殺請求権を行使できる」という助け舟が出されてはいるものの、遺留分を侵害する遺言も「一応有効」なのです。
権利関係重要論点⑥「賃貸借・借地借家法」
勉強のポイント
★まずは、「譲渡・転貸」や「敷金」、「対抗問題」についてきちんと押さえましょう。
★鬼門なのは、「契約の仕方(書面か否か)」や「契約期間」等についてです。これらについては、各法を比較する難しめの問題が出題されることがあります。このような問題に対応するためには、面倒でも、比較を意識しながらテキストをきちんと読んでみることが大切です。
問題をやってみましょう。
※一問一答形式です。
(1) Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と、一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合、AB間の土地賃貸借契約の期間は、AB間で60年と合意すればそのとおり有効であるのに対して、AC間の土地賃貸借契約の期間は、50年が上限である。
(2) A所有の居住用建物(床面積50㎡)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、建物賃貸借契約を締結した。この場合、普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があるのに対し、定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人は期間の途中で解約を申し入れることができる。
以下、回答です。
(1) × Aが所有している甲土地を「平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合」は、「建物の所有を目的としていない」ので、借地借家法は適用されず、賃貸借のお話になります。賃貸借のお話では、契約期間はMAX20年ですので、「AB間で60年と合意をした」としても、その通りにはならず、20年に短縮されてしまいます。
一方で、「(一時使用目的ではなく)建物所有目的を有するCに貸す場合」には借地借家法(普通借地権)が適用されます。この場合は、「30年以上」の期間を、上限なく設定できます。51年と設定すれば、51年間の契約になります。
(2) ○ 「期間を定めた」契約をした場合には、基本的には期間途中の解約は認められません。「約束したのだから、期間中はちゃんと使い続けてください」というお話です。
定期建物賃貸借でもその原則は同じですが、例外として、「床面積200㎡未満の居住用建物の定期建物賃貸借契約においては、賃借人に転勤や療養等のやむを得ない事情が生じた場合、解約申し入れができる。」というルールがあります。この「200㎡」という数字を覚えておきましょう。
次回(9/14配信予定)からは、宅建業法の重要論点を取り上げます。
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