2017年5月28日(日)に実施されたFP3級の試験解答(試験講評)をお届けします。本試験を受験された方はもちろん、これからFPの資格取得を目指す方もぜひ、確認してみてください。
FP3級 学科試験
今回の3級試験は、どの科目が難しいというよりは、各科目に応用論点(上級レベルの問題)が出題されていたため、ところどころで、難しく感じたかもしれません。
ライフ分野
国の教育ローンの資金使途について、詳細を知っているかの問題でした。(1)~(4)は定番問題である弁護士法、高額療養費、例、遺族基礎年金受給者は、確実に得点したい問題です。
三択問題では、(35)のフラット35(買取型)においての融資率についての仕組みの詳細を問う問題が上級レベルの問題でしたが、それ以外は正解したいところです。
リスク分野
(8)逓増定期保険が3級では学習していない方も多い項目のため難しく感じたかもしれませんが、その他の問題は基本的な論点でしたので正解したいところです。
三択問題では、(37)養老保険の福利厚生プランの仕組みについての問題が2級の論点のため、悩んだ方も多いと思われますが、福利厚生とは「役員および従業員全員」に対してのものからという推測で正解を導きだすことも可能であったかもしれません。
金融分野
(15)金融ADR制度においてに紛争機関はどのようなところがあるかの問いですが、これは上級の問題であり、正確に機関を知っている受験生は少ないため、難しい問題であったといえます。
三択問題では、金融商品取引法の規定による適合性の原則についての問題でしたが、原則を正確に把握している方は少ないため正解するのが難しかったと思われます。ただし、それ以外は定番問題であるため正解したい問題でした。
タックス分野
(19)助産師による分娩の介助を受けるために直接必要な費用が医療費控除の対象となるかという問題で、医療費控除においての実務的な問題のため判断に迷った方が多いと思われます。
三択問題では、(47)の一時払養老保険の満期金の受取は、一時所得の計算方法が理解できているかを問う問題でした。それ以外は、基本的な問題のため正解しておきたいところです。
不動産分野
(23)建築基準法の北側斜線制限が出題され、これは3級の学習論点を超えている問題であったため、正解は難しいと思われます。その他の問題は、定番問題のため、すべて正解が狙える問題でした。
相続分野
(26)父から子への土地の無償譲渡が贈与税の課税対象になるかの判定で迷った方が多かったと思います。
三択問題では、(59)貸家の家屋の相続税評価額は、借家権割合により計算されることを理解できていたかが重要でした。また、(60)小規模宅地の評価減はそれぞれの用地がどの用地に該当し、何%減額になるかを正確に理解しているかが正解へのカギでした。
各科目、二択、三択でそれぞれ1問程度、迷わせる問題、難しいと感じる問題の出題があるのが近年の傾向です。
3級試験だからといって3級レベルの問題だけでなく、上級(2級)を意識した問題の出題が見られ、難易度が上昇しつつあります。
また、満点をとれないような問題構成になってきていることもありますが、従来通り、過去問題と類似しているもの、基本的な理解を問うものを確実に正解していけば、合格点は獲得できます。
3級で基礎的な論点を身に付けておき、2級でさらに知識を活用する方法を身に付けられるようにしましょう。
FP3級 実技試験
傾向および難易度はいつもどおりの内容でしたが、学科に比べると若干やさしかったように思われます。
キャッシュフロー表、会社四季報の読み取り、建ぺい率、保険証券の読み取り、相続人の判定(法定相続分)、バランスシート、係数の計算と、毎回出題されている論点を確実に得点できれば合格点は、取れる問題でした。
また、問5でNISAの概要を問う問題が出題されましたが、前回から毎回出題される頻出重要項目の仲間入りとなりました。上級(2級)でも出題の可能性が高いので重要キーワードを確実にしておく必要があります。
初出題は、青色申告者の所得税額の計算問題でしたが、計算方法が記されているので、イージーミスをしなければ解答できる問題であったといえます。
実技も定番問題が出題されますが、少しずつ詳細な論点を問う問題になりつつありますし、まったく同じ問題ではなくアレンジされて出題されていますので、まず、基本的な解答方法を理解しておくことが大切です。
今後はこのような問題に対応できるような応用力がますます必要となってくるといえるでしょう。
2017年5月度 FP3級 解答速報
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