2017年9月10日(日)に実施されたFP3級の試験解答(試験講評)をお届けします。本試験を受験された方はもちろん、これからFPの資格取得を目指す方もぜひ、確認してみてください。
FP3級 学科試験
今回のFP3級試験は、全体的に解答しやすい問題で、3級の標準的なレベルの問題でした。各科目とも細かな知識を問う問題が数問みられましたが、基本的な学習を一通りし問題演習を行っていた方は合格点を容易にクリアできると思います。 平均合格率(全国)は70%前後と予想されます。
ライフ分野
(5)遺族厚生年金の遺族範囲、(35)の貸金業法の総量規制により借入限度額を正確に覚えていたかが問われましたが、それ以外の論点は頻出項目なので正解したいところです。
リスク分野
(9)地震保険の損害区分は本年度の改正項目のため、改正点をしっかりと確認しておいたかが重要でした。それ以外は正解したい定番問題といえます。
金融分野
学科(11)・実技(問3)とも、公開市場操作について出題があり、「買いオペレーション」・「売りオペレーション」の違いおよび効果を正確に理解できていたかが重要でした。
(15)金融商品取引法では、詳細な内容を問う問題(適合性の原則)、(45)金融商品販売法でも、詳細な内容を問う問題(断定的判断の提供等)であったため難しく感じた方もいる問題だったかもしれませんが、それ以外は正解したい定番問題でした。
タックス分野
頻出論点がほとんどでしたが、(46)の事業的規模の不動産貸付による所得が事業所得ではなく不動産所得であるという所得の概念、(49)不動産所得を生ずべき土地等を取得するために要した負債の利子が損益通算できないということが理解できていたかが重要でした。
不動産分野
(25)老朽化した建物の取り壊し費用の取扱いは上級の論点であり、また、(51)借地借家法の規定の、定期建物賃貸借契約において契約終了の旨の通知をする期間については、規定をしっかりと理解しているかがキーポイントとなる問題でした。それ以外は正解したい定番問題です。
相続分野
(57)、(問13)の民法の法定相続分は、相続の基本であり、毎回の頻出問題であるため必ず正解したいところです。毎回、頻出論点である小規模宅地の評価減は特定居住用等について出題されていましたが、今回は特定事業用宅地等が出題された為、限度面積と減価額を正確に理解できていないと正解は難しかったかもしれません。
また、(30)宅地の評価も毎回の頻出問題であり、貸家建付地の評価の計算式は確実に正解したいところです。
従来通り、過去問題と類似しているものも多く解答しやすい問題でしたが、詳細を聞く問題が若干見受けられました。テキスト等でしっかりと学習した方は、80%ぐらいの得点が見込めるでしょう。頻出の論点は大きく変化はありませんが、その論点の中で、詳細な項目を聞いてくる傾向にあるといえます。
FP3級 実技試験(日本FP協会:資産設計提案業務)
傾向および難易度はいつもどおりの内容のため、高得点が狙えた問題でした。キャッシュフロー表、会社四季報の読み取り、建ぺい率、保険証券の読み取り、相続人の判定(法定相続分)、バランスシート、係数の計算と、毎回出題されている論点を確実に得点できれば合格点が取れる問題であったと思います。
また、問4のNISA(ジュニアNISA)の詳細を問う問題ではありますが、重要なキーワードを覚えていれば正解できた問題といえます。問11の退職所得の金額計算は、退職所得控除額の計算(20年以上)が確実に計算できるかが重要でした。問12の所得税の総所得金額の算定は2級実技試験では定番の出題ですが3級試験では、初出題であり、総合課税されるもの分離課税されるものを理解しているかを問う問題でした。
近年は、学科試験、実技試験と同じ内容の問題が出題されるため、両方の対策となる項目で出題される問題は確実にしておくことで高得点合格も狙えるでしょう。
FP3級 実技試験(金融財政事情研究会:個人資産相談業務)
傾向および出題内容はいつもどおりの内容のため、比較的解答しやすい問題でした。それぞれの科目で計算問題が解答できたかがポイントとなります。
ライフでは、第1問(問3)は老齢厚生年金の年金額の計算式の問題でしたが、平成15年3月までと4月以降の乗率を理解していたかがカギとなります。
金融では、第2問(問6)は株式の投資指標等問題ですが、株価収益率、自己資本比率、配当利回りなどの計算方法を理解しているかが正解のカギです。
タックスでは、第3問(問9)所得税の総所得金額の算定の問題であり、給与所得、一時所得を計算することができるかがポイントです。
不動産では、計算問題の出題はありませんが、マンション購入時の留意点で、区分所有法、民法の瑕疵担保責任等の基本的理解を問う問題だった為、すべて正解したいところです。
相続・事業承継では、第5問(問14)相続税の基礎控除額、(問15)相続税の課税遺産総額の算定は、相続税の計算体系が理解できていたかが正解のカギとなるでしょう。
選択問題すべて正解で合格点ですが、計算問題の方が配点が高いことが見込まれるため、計算問題を確実に正解することが合格点を取得するには必要だといえるでしょう。
2017年9月度 FP3級 解答速報
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