「恋愛簿記~男と女の会計学~(全12回)」の第5回をお送りしていきますが、「恋愛っていつが始まりなのか?」・・・これは男女の永遠の課題かもしれませんね。
恋愛と同じく、簿記の世界でも、「いつ『売上』の仕訳を切ったらよいのか?」は重要な問題です。
「収益」の認識タイミングを考える
いつ仕訳を切るかのタイミングの考え方を、会計の世界では「(費用・収益の)認識」と呼びますが、特に売上をはじめとする「収益」の認識のタイミングが重要となります。
収益は「実現主義の原則」によって認識されます。
「実現」とは、「財貨・役務の引き渡し・提供と対価としての貨幣性資産の受領」を意味します。この「引き渡し」については、いくつか基準があり、具体的には、
「出荷基準(商品を出荷した時点で認識)」
「引渡基準(得意先に引き渡した時点で認識)」
「検収基準(得意先での検収に合格した時点で認識)」
など・・・様々です。
恋愛に当てはめると・・・
仮に恋愛を収益に当てはめた場合、そのタイミングはどうなるでしょうか?
出荷基準
「告白した時点」を恋愛スタートとするならば、出荷基準ということになりますが、振られる(玉砕の)可能性もあります。その場合は損失を計上することになるので、少々痛いですね。
検収基準
検収基準はどうでしょうか?こちらは検査をした後にOKが出たら売上を計上するというものです。こちらの方がしっくりきますね。しかし、恋愛の検査期間ってどのくらいなんでしょうね?付き合って1日じゃわかりません。
特殊商品売買の「試用販売」
もう少し長い期間様子を見たい(売上を計上したくない=恋愛を始めたくない)方のために、こんな方法はどうでしょうか。特殊商品売買の「試用販売」という売買方法があります(簿記2級から1級の範囲に格上げになりました)。
こちらは、1ヶ月程度「試用(おためし)」として使ってもらって、試用期間経過後、買取りの意思表示があった場合のみ収益を計上するという方法です。
会社での雇用の場合もお試し期間に当たる「試用期間」というものがあるくらいですから、しっくりきますね。
試用(おためし恋愛)のうちはおとなしくしておいて、買取り(本格恋愛)の意思表示を受けた途端に本性を現すなんてパターンもあるかも・・・(怖いですね~)
「発生主義の原則」
では、費用で使う原則ではありますが「発生主義の原則」に基づく方法はどうでしょうか。
発生主義とは「費用の発生事実」をもとに認識をする考え方です。「発生」とは製造のときに材料や労働力を投入することと考えればよいでしょう。
これに基づく収益の認識方法として、長期請負工事における「工事進行基準」という方法があります。こちらは、工事の進捗が客観的に測定できる場合にのみ、その進捗状況に合わせて収益を計上できる方法です(たとえば請負高1億円の工事契約で、50%まで施工が進んだら収益5千万円を計上)。
恋愛に例えれば、パートナーのために尽くした分だけ、恋愛という名の収益が積みあがっていくというイメージでしょうか。
恋は建造物のように「一生かけて建てていくもの」と考えるとロマンがありますね。70歳になっても、80歳になっても、恋愛という名の収益を計上し続けていきたいものです。(今回はいい話で終わっておきましょう)
それでは、次回もお楽しみに。
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