大好評をいただいたこの「恋愛簿記~男と女の会計学~(全12回)」も、今回が最終回です。
さて、日商簿記2級検定の範囲が平成28年度から30年度にかけて順次改訂されています。リース会計や税効果会計など、1級の範囲が下りてくるということで「戦々恐々」としている人も多いのではないでしょうか。
(私は個人的には特殊商品売買が2級からなくなったことのメリットの方が大きい気もしますので、これから勉強する方は安心してくださいね)
とはいえ、今回の改訂でもっともインパクトがあるのは、今回のテーマである「連結会計」が1級から下りてきたことですね。最終回は連結会計を結婚に例えてみたいと思います。
「連結会計」とは
連結会計というのは早い話が、企業グループ(いわゆる親子会社)で合算した財務諸表を作りましょうねってことです。
つまり、親会社の財務諸表と子会社の財務諸表をUmmm(ウーン)とくっつけるということです(Pen-pineapple-Apple-penですね→古い?)。
親子間での「利益のつけかえ」をすることによる粉飾決算を防ぐために、連結財務諸表にした状態で公開しなさい・・・ということになっているんですね。
連結会計はまさに結婚と同じです。すべての財産を合算するのは当然として、タイトルにあるようにくっつけば「過去のわだかまり」も消えるんです。今日は、2級の範囲である資本連結と連結会社間取引について考えていきましょう。
【1】 資本連結 ~もしもパトロンの男と結婚したら~
以下、会社に例えるために男を親会社、女を子会社としましょう(異論はありそうですが、目をつぶってください・・・怒らないでね)。
いわゆる「パトロン関係(お金の援助がある関係)」に例えると分かりやすいです。ここで100万円で、ある素敵な女性の「パトロン」になるとします。その権利を子会社株式としましょう(繰り返しますが、もののたとえですから、女性のみなさん怒らないでね)。そうなると・・・
・・・と考えることができます。
この2人が仮に結婚して「1つの家庭」になるとすると、現金は共有財産になります。
2人の財布を合算しても、現金自体は増えることも減ることもないのでよいのですが、子会社株式と資本金が二重計上になってしまっていることになります(つまり実際よりも財務諸表が大きく見えてしまう)。
そこで、相殺消去をするんですね。これを投資と資本の相殺消去といいます。というか、「結婚してしまえばパトロンも何もあったもんじゃないだろう」って考えればよいと思います。
もしも、この女性のパトロンの権利を誰か別の男性に転売するとしたら、(魅力的であれば)150万円で買ってくれるかもしれません。
その場合、子会社株式の価値は取得原価150万円となっています。
この新しいパトロンさんと結婚した場合は、「100万円の女性を150万円で買ってもいい」と考えたわけですので、合併のときと同じように50万円の差額分の「のれん(超過収益力)」が発生します。
つまり、プラス50万円の価値を見出したんだ・・・ということです(・・・そろそろ本気で怒られそうですね)。
【2】 連結会社間の取引 ~貸し借りはナシよ~
同じように、男性と女性の間でお金の貸し借りがあったとします。今度は男性が女性にお金を借りたとしましょう(ロクデナシ?)。
おそらく結婚後も「あの時のお金を返してよ(怒)」と家庭内ではもめているかもしれませんが、外から「1つの家庭」と見てしまえば(連結させてしまえば)、貸し借りはチャラになります。
夫婦の間でのお金の貸し借りなんて、外から見れば何もないのと同じことです。
結婚してしまえば、パトロンだろうが、ロクデナシ男だろうが、過去のわだかまり(うしろめたさ?)も消えて、「めでたしめでたし」といったところですね。
さらに1級まで進むと、
結婚(連結)1年後、2年後にこの夫婦の財産がどうなるか・・・といった事柄を追いかけていったり、
別のパトロン(都合のいい相手?)が登場してきたり(お金は出したけれども支配できなかった男たち→被支配株主といいます)
と、非常に奥が深いんです。連結の世界も「恋愛会計学」の視点で見れば面白そうだなあと感じていただければ幸いです。
・・・ということで1年間、私のふざけた連載にお付き合いいただきありがとうございました。え?もっと読みたいですか?オンスクさんの気が向いたら連載させてもらえることでしょう(笑)
大阪商工会議所ビジネス会計検定ではマンガ『勇者 会計を装備する』を描いていますので、よかったらこちらもご覧ください。
日本商工会議所の検定WEBサイトでも、原価計算に関する新連載を開始する予定です。お楽しみに。
関連する記事が他にもあります