「「恋愛簿記~男と女の会計学~(全12回)」の第6回をお送りします。
前回に引き続き「認識(仕訳・計上のタイミング)」の話です。今回は費用について考えてみましょう。
「費用」の認識タイミングを考える
前回も少しお話ししましたが、費用の場合は収益とは異なる「発生主義の原則」を取っています。
発生主義の原則とは「発生の事実」に基づいて費用を計上する考え方です。工業簿記の発想があれば分かりやすいでしょう。例えば「材料を投入する(材料費)」「労働力を投入する(労務費)」「電気を使う(経費)」といったタイミングです。
これらは先払いであろうと、後払いであろうと、お金を払うタイミングではなく、消費したタイミング(年度)に計上します。「前払費用(お金は払ったが・発生はまだ)」や「未払費用(発生は済んだが・お金の支払はまだ)」といった科目の存在意義はここにあります。
費用は言わずもがな、収益を得るためには欠かせないものです。すなわち恋愛における費用は、恋愛成就のための「努力」と置き換えてもいいかもしれません。相手の気を引くためにデートをする、プレゼントを贈る、食事に誘う・・・これらの費用は発生した時点で、費用計上してよいということになります。
デート代は現金払いであろうが、クレジット払い(買掛金)であろうが、費用計上できますが、破産だけはしないように(リアルな企業会計に乗せちゃダメですよ!)。
【仕訳】
デート費用(費用+)/現金(資産-)orクレジット買掛金(負債+)
そして、これらの努力に見合うだけの成果(収益)として、恋愛を成就することができるのです。分かりやすいですね。こうしてみると、恋愛ってすべて惚れた側の「先行投資」のような感じがいたします。
そして年度末、例えば3月末がやってきます。この時点で収益につながらなかった費用は、費用として計上することはできません。会社に例えれば、生産のためにお金を使っても、その製品が売れていかなければ「売上原価」としては計上することはできないということです。その場合はどうしますか?
そうです・・・期末に在庫として残っている分は3級の「し・くり・くり・し」でおなじみ、仕入(費用)を繰越商品(資産)に振り替える処理をしますね。同じようにデート費用も資産に振り替えておくことにします。
【仕訳】
繰越商品(資産+)/仕入(費用-)
【仕訳】
繰越愛情(資産+)/デート費用(費用-)
そして繰越商品は「在庫(資産)」として、また来年の売上に貢献することになります。このように、費用と収益のタイミングのズレを調整し、両者の対応関係を図ることを「費用収益対応の原則」と呼びます。どこかで恋愛が成就したときに、一気に費用に振り替えられるということです。
【仕訳】
デート費用(費用+)/繰越愛情(資産-)
悲しいパターン・・・
悲しいパターンは、何年も何年もアタックし続けて、ずっと愛情が溜まったままの状態でしょうか・・・。
前回出てきた長期請負工事契約において、工事の進捗が客観的に把握できない場合は(恋愛なんて基本そうですよね・・・)、「工事完成基準」を採用します。
この基準を採用した場合は、工事が完成するまでは収益が計上できないため、費用もすべて資産に振り替えられ続けていきます。この場合、「繰越愛情」がどんどん溜まっていきます(5年越しの恋?)。
恋愛に例えるとかなり「重い」ですね・・・。
今回は以上となります。
気軽に学べる!簿記3級講座
CBT試験対策もバッチリ!簿記3級TEPPAN講座
無料登録でオンラインの資格講座を体験しよう!
資格受け放題の学習サービス『オンスク.JP』では様々な資格講座のオンライン学習が可能です。
最短20秒の無料会員登録で、各講座の講義動画・問題演習の一部が無料体験できます。
※無料会員は、決済情報入力なしでご利用可能。
※自動で有料プランになることはありません。
関連する記事が他にもあります
恋愛簿記 ~男と女の会計学~(全12回)
- 連結会計 ~くっつけば 消えるわだかまり~│恋愛簿記⑫
- 恋愛のルール ~企業会計原則~│恋愛簿記⑪
- 税効果会計 ~記念日にこだわる?こだわらない?~│恋愛簿記⑩
- 有価証券 ~パートナーの保有目的で変わる「評価」~│恋愛簿記⑨
- 失恋と貸倒れ ~失恋引当金は計上可能か?~│恋愛簿記⑧
- 愛の減価償却 ~愛はどう減る・・・?~│恋愛簿記⑦
- 費用の認識 ~恋愛のための努力はいつから「認め」られる?│恋愛簿記⑥
- 収益の認識 ~これって恋かも・・はいつから?~│恋愛簿記⑤
- 簿記の5要素(後編) ~失恋は費用か?負債か?~│恋愛簿記④
- 簿記の5要素(前編) ~恋愛は収益か?資産か?~│恋愛簿記③
- 取引の二面性 ~恋愛だって仕訳は切れる~│恋愛簿記②
- 貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)、付き合うならどっち?│恋愛簿記①