色彩検定3級講座担当の長澤陽子です。
「こんなに活かせる!色の世界(全10回)」のいよいよ最終回。今回は、日本の伝統色についてです。
日本の伝統色の由来は植物・自然現象
日本の伝統色と聞くと、敷居が高い、難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、日本人は日頃から色を表す時に自然に使っています。
例えば、「桜色」や「紺色」は「薄いピンク」や「暗い青」を表現する時に使用しています。
色彩検定では、「JIS慣用色名」という名称で公式テキストの巻末に掲載されています。これは、JISに規定されている色名のみで、これ以外にも和名のついた色は数々存在します。
日本の伝統色は、古くは平安時代~昭和初期の間に発生したものが現代まで伝えられて来たものです。主に植物や自然現象から取られたものが多く、それだけ自然と密接に関わり感じ取っていたことが伺えます。
日本の伝統色は色名自体も美しい
また、色もさることながら、美しい日本語の色名も目を引きます。
例えば、「朽葉(くちば)色(いろ)」。これは、秋に見られる落ち葉の色のことですが、「落ちる」ではなく「朽ちる」という表現は叙景的です。
加えてこの朽葉色では、「赤(あか)朽葉(くちば)」「黄朽葉(きくちば)」「青(あお)朽葉(くちば)」と、微妙な色の違いをそれぞれ色名で表しています。
赤朽葉は赤く紅葉した葉色を、黄朽葉は黄葉の色を、青朽葉はまだ少し青みの残った葉色を表現しています。
この繊細な色彩感覚は日本特有のもので、他国ではこのように葉色を数多くの色名で表現することはありません。
いかがでしたでしょうか。ここでは、数多くをご紹介することはできませんが、日本の伝統色に関する書籍は多々出版されています。ぜひ、一度手に取ってみてください。
きっと日本人で良かったと感じていただけるはずです。
さて、この連載コラムも最終回となりました。
今までご覧いただいた皆さまありがとうございました。
ここから一つでも、色が与える効果や重要性、そして面白さを感じていただければ幸いです。
また、これから色彩検定を受験される方も「合格」を目指して頑張っていってくださいね。
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