親から相続したアパートを経営するオンスク君が、家賃を半年分(60万円)も滞納している入居者を相手に訴訟を提起することを検討していますが、オンスク君が言うには、「費用を節約するため、弁護士に頼まないで、自分で訴訟をやりたい。」とのこと。あなたなら、どのようなアドバイスをしますか?
皆さん、こんにちは。この連載では、ビジネス実務法務検定試験®2級で70点を取るための具体的な勉強法についてご説明しています。
前回は「会社と従業員との法律関係」の勉強法についてお話をしました。今回は、「⑦企業活動をめぐる紛争の解決方法」の勉強法についてお話をします。
1. 「企業活動をめぐる紛争の解決方法」の出題内容・配点
この分野の出題内容は、企業活動をめぐる紛争の解決方法としての民事訴訟手続と、
和解・調停・仲裁等の民事訴訟手続以外の解決方法です。大別して、
①民事訴訟手続
②その他の解決方法
の2項目から成り立っています。
この分野からは、配点にして5点前後の出題となっています。
2. 「企業活動をめぐる紛争の解決方法」の出題傾向
この分野については、民事訴訟手続からの出題が中心となっており、ほぼ毎回出題されています。民事訴訟手続以外では、支払督促と仲裁からの出題が比較的多くなっています。
3. 「企業活動をめぐる紛争の解決方法」の勉強法
① 民事訴訟手続
民事訴訟手続については、まず、大雑把でもよいですから、「民事訴訟手続の流れ」を頭に入れてください。
その際には、ご自分が原告または被告になった場合を想定するとよいでしょう。例えば、あなたがAで、金を貸したBが返済をしないので、Bを被告として民事訴訟を提起する、というように。
第一審の裁判所は地方裁判所と簡易裁判所のいずれになるのか(事物管轄)、第一審の裁判所が確定したとして、どこの地方裁判所または簡易裁判所に管轄権があるのか(土地管轄)、訴えの提起はどのような方法で行うのか(訴状の提出)、訴状には何を記載するのか(必要的記載事項・任意的記載事項)、被告が提出する答弁書には何を記載するのか(請求の趣旨に対する答弁・請求の原因に対する答弁)といった一連の流れは、ただ漠然とテキストを読むだけでは頭に入りません。自分が訴訟の当事者になったつもりで勉強することが大切です。
よく「民事訴訟法は退屈で難しい」と言われますが、民事訴訟を他人事と思わずに自分の問題としてとらえると、切実な問題として、難しい民事訴訟法の勉強に取り組む意欲が出ますし、理解も早く進むと思います。私自身もこのような勉強をして民事訴訟法を克服しました。
試験によく出る重要箇所は、「請求の原因に対する答弁(自白・不知・否認)」、「第一回口頭弁論期日に当事者が欠席した場合の取扱い」、「控訴」、「弁論主義」、「証明責任」、「少額訴訟」です。
証明責任は、その理論自体は難しいですが、事例で押さえていけば得点できるテーマです。最近の試験では、貸金返還請求訴訟や不法行為に基づく損害賠償請求訴訟に関する事例問題がよく出題されますので、それぞれの場合に「どのような事実について」「誰が」証明責任を負うのかをノートやカード等に整理しておくとよいでしょう。
少額訴訟は、最近では、奇数回の試験に出る傾向があります。少額訴訟は、「簡易」な民事訴訟手続ですが、出題内容も「簡易」です。前に出た箇所が繰り返し聞かれますので、点の取りやすいテーマです。
② 支払督促
支払督促についても、まず、手続の流れを押さえてください。そして、支払督促については、「申立ての相手方」、「支払督促が債務名義になるのはどの段階か」、「通常の民事訴訟手続に移行するのはどのような場合か」が試験によく出る箇所です。
③ 仲裁
仲裁については、「仲裁判断の効力」を押さえてください。
ところで、冒頭のオンスク君へのアドバイスですが、ビジネス実務2級試験合格者のあなたなら「滞納額が60万円ということなら、少額訴訟を利用できるよ。家賃の滞納の場合は、事実関係が複雑ではないし、滞納額をめぐって入居者と争うこともないだろうから、弁護士に依頼しなくても、自分で十分に対処できると思う。」というようなアドバイスをすることでしょう。
次回は、いよいよこの連載の最終回となりますが、ビジネス実務法務2級の残る試験科目、「国際法務に関する法律」の勉強法についてお話をします。
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