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2020民法大改正|ビジネス実務への影響② 法定利率

2020民法大改正|ビジネス実務への影響② 法定利率

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。

これに伴い、企業がビジネス実務上の影響を受ける点がいくつかあります。改正点についての正確な知識がなければ、不利益を受ける危険性もあります。

そこで本連載では、ビジネスパーソンが押さえておかなければならない、ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点について30回にわたり解説していきます。

第2回のテーマは、法定利率です。

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1. 民法改正前の法定利率

法定利率とは、利率が当事者間の約定で定められていない場合や、法律の規定によって
利息が発生する場合に適用される利率をいいます。

改正前の民法(以下「旧民法」という。)は、法定利率についてこれを年5%(民事法定利率)と定め、また、改正前の商法は、年6%(商事法定利率)と定めていました。

2. 民法改正後の法定利率

旧民法における法定利率は、明治期における民法・商法の制定以来、見直しがされておらず、また、昨今では、市中金利を大きく上回る状態が続いていて、旧民法における法定利率は不合理であるとの批判がありました。

そこで、改正後の民法(以下「新民法」という。)は、法定利率を年5%から年3%に引き下げました。また、これに伴って、年6%の商事法定利率は廃止され、法定利率は、新民法上の法定利率に一本化されました。

3. 緩やかな変動制の導入

ところで、旧民法は法定利率について固定制を採用していましたが、法定利率を固定のものとすると、将来、市中金利と大きく乖離する事態が生ずるおそれがあるため、合理的な変動のしくみをあらかじめ法律で定めておき、予測可能性を高めるのが適切であるとの指摘がありました。

ただ、市中金利の短期的・微細な変動に連動して法定利率が変わると、社会的コストが非常に大きくなってしまいます。

そこで、新民法は、法定利率を市中の金利の変動に合わせて緩やかに上下させる変動制を導入することとしました。

変動制の概要を述べますと、3年ごとに法定利率の見直しをし、貸出約定平均金利の過去5年間の平均値を指標として、この数値に前回の変動時と比較して1%以上の変動があった場合にのみ、1%刻みの数値で法定利率が変動(法定利率は整数になる。)するというものです。

詳細については、次の項で説明します。

4. 変動制の具体的な内容

(1)法定利率を算出するために用いる利率(「基準割合」という。)は、日本銀行が公表している貸出約定平均金利の過去5年間における短期貸付けの平均金利の合計を60で除して計算した割合(0.1%未満は切捨て)となります。

上記の「過去5年間」とは、各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの各月(例えば、2025年4月1日が期の初日である場合には、2019年1月~2023年12月までの各月)をいいます。

(2) 直近変動期の基準割合と当期の基準割合との差(1%未満は切捨て)に相当する割合を、直近変動期における法定利率に加算し、または減算します。
例えば、直近変動期の基準割合と当期の基準割合との差が1.3%であった場合、直近変動期における法定利率に1%単位の加算または減算をした割合をもって当期における法定利率とします。

仮に、直近変動期の基準割合と当期の基準割合との差が0.3%であった場合には、差の1%未満は切捨てとなりますので、直近変動期の法定利率が3%であったならば、当期の法定利率も3%となります。

5. 中間利息控除

中間利息控除とは、不法行為等による損害賠償において死亡被害者の逸失利益を算定するに当たり、将来得たであろう収入から運用益を控除することをいいます。

旧民法には中間利息控除に関する規定はありませんでしたが、判例は、この控除の割合は法定利率によるとしていました。

そこで、新民法は、「将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。」(民法417条の2、722条1項による417条の2の準用)と規定して、中間利息控除に変動制の法定利率(不法行為等による損害賠償請求権が発生した時点の法定利率)を用いることとしました。

この中間利息控除については、仮に変動制により法定利率が引き下げられた結果、損害賠償の額が高額化した場合、加害者等が加入している損害保険等にかかる保険会社が支払う保険金額が増加することとなるため、保険会社がこのようなコスト増を吸収するために保険料を引き上げる可能性があるなど、損害保険実務への影響が指摘されています。

2020民法大改正|ビジネス実務への影響② 法定利率

連載「2020民法大改正|ビジネス実務への影響」、第2回の今回は、法定利率について解説しました。

次回は「保証」について解説します。

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