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2020民法大改正|ビジネス実務への影響⑭ 債権者代位権 その3

2020民法大改正|ビジネス実務への影響⑭ 債権者代位権 その3

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。
これに伴い、企業がビジネス実務上の影響を受ける点がいくつかあります。改正点についての正確な知識がなければ、不利益を受ける危険性もあります。

そこで本連載では、ビジネスパーソンが押さえておかなければならない、ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点について30回にわたり解説していきます。

今回のテーマは前回に引き続き「債権者代位権」です。前回に続いて、新民法下における債権者代位権のルールについて説明します。

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4. 債務者の取立てその他の処分の権限等

債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。(新民法423条の5)

判例は、債権者が債権者代位権の行使に着手した場合、これを債務者に通知するか債務者が了知した後は、債務者は、被代位権利の取立てその他の代位権行使を妨げるような処分をする権限を失うとしていましたが、新民法は、このような判例の見解を改めて、債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられないとしました。これは、きわめて重要な改正です。

もともと、債務者の処分権限を否定する上記判例の見解に対しては、債務者が権利行使をしてさえいれば、それが不誠実・不適切な方法であっても、債権者代位権の行使は認められないのに(判例)、債権者が債権者代位権を行使しただけで、債務者の処分権限まで否定するのは過剰であるとの批判がありました。
そもそも、債権者代位権は、あくまでも債務者が権利を行使しないためにその責任財産が減少しそうな場合にそれを防ぐための制度である以上、債務者が自ら権利を行使することを否定するのは妥当でないと考えて上記の改正がなされました。

そして、この場合においては、相手方(第三債務者)も、被代位権利について、債務者に対して履行(弁済等)をすることを妨げられないとしました。

5. 被代位権利の行使にかかる訴えを提起した場合の訴訟告知

債権者は、被代位権利の行使にかかる訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない。(新民法423条の6)

訴訟告知」とは、訴訟の当事者が、訴訟が裁判所にかかっている間に、参加をすることができる第三者に、その訴訟のことを通知するという仕組みをいいますが、この規定は、債務者に対して訴訟に参加する機会を保障する趣旨によるものです。

6. 登記または登録の請求権を保全するための債権者代位権

債権者代位権は、債務者の責任財産保全のための手段として認められたものであるため、債権者代位権を行使しうるためには、債務者の総財産がその全債権者の債権を満足させるのに足りないこと、すなわち、債務者が無資力であることが必要とされています。

ところが、判例は、登記請求権、賃借権のような金銭債権以外の「特定債権」を保全するための債権者代位権の行使(これを「債権者代位権の転用」といいます)を認めており、これらの債権は、債務者の資力の有無とは無関係であることから、特定債権保全のために債権者代位権を行使する場合には、債務者の無資力を要しないものとしています。

例えば、不動産がA→B→Cと順次譲渡されたが、登記がいまだAの下にある場合、Cは、Bに対する登記請求権を保全するため、BのAに対する登記請求権を代位行使することができます(ただし、Cは、Bを飛び越してAから直接自己名義に登記を移転するよう請求することはできず、B名義に移転すべきことを請求しうるにとどまります。)。

新民法も、以下のように、登記請求権または登録請求権を保全するための債権者代位権の行使を認める明文の規定を設けました。

登記または登録をしなければ権利の得喪および変更を第三者に対抗することができない財産を譲り受けた者は、その譲渡人が第三者に対して有する登記手続または登録手続をすべきことを請求する権利を行使しないときは、その権利を行使することができる(新民法423条の7)。

ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点

連載「2020民法大改正|ビジネス実務への影響」、今回は3回に分けて「債権者代位権」について解説しました。

次回は「詐害行為取消権」について解説します。

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