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2020民法大改正|ビジネス実務への影響㉕ 危険負担等 その2

2020民法大改正|ビジネス実務への影響㉕ 危険負担等 その2

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。
これに伴い、企業がビジネス実務上の影響を受ける点がいくつかあります。改正点についての正確な知識がなければ、不利益を受ける危険性もあります。

そこで本連載では、ビジネスパーソンが押さえておかなければならない、ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点について30回にわたり解説していきます。

今回のテーマは前回に引き続き「危険負担等」です。新民法は、危険負担に関する従来の解釈を変更したほか、危険の移転時期に関する規定や、履行遅滞または受領遅滞中の履行不能に関する規定も新たに設けています。

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3. 危険の移転時期

従来、建物のような特定物については、引渡しにより目的物の実質的な支配が売主(債務者)から買主(債権者)に移転するから、危険も引渡しの時に移転するという考え方が広く支持されていました。そこで、新民法は、次のような規定を設けました。

売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、または損傷したときは、買主は、その滅失または損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求および契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。(新民法567条1項)

すなわち、特定物に関する危険の移転時期を「目的物の引渡しの時」としました。

従って、例えば、A所有の建物につきAB間で売買契約が締結されたが、引渡し後にその建物が地震や類焼により滅失し、または損傷した場合、危険は建物の引渡しによって買主Bに移転していますので、その後は、Bは、Aに対して、その滅失または損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求および契約の解除をすることができません。また、Bは、代金の支払いを拒むこともできません。

なお、後述(5 受領遅滞中の履行不能」を参照)するように、引渡期日にAが建物の引渡しをしようとしたところ、Bがこれを拒み、または引渡しを受けることができなかった場合(受領遅滞)において、その後、建物が地震や類焼によって滅失し、または損傷したときも同様に処理されます(新民法567条2項)。

新民法567条2項
売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、または受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、または損傷したときも、前項と同様とする。

4. 履行遅滞中の履行不能

例えば、A所有の建物についてAB間で売買契約が締結されたが、Aが、うっかり引渡期日を忘れてしまったため、その引渡債務が履行遅滞となっている間に、建物が地震や類焼により滅失したような場合について、新民法は、次のような規定を設けました。

債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。(新民法413条の2第1項)。

この規定によれば、上記の事例の場合、Aの引渡債務は履行不能となっていますが、その履行不能は、Aの落ち度によるものとみなされて、Aに債務不履行責任が生じます。
従って、Bは、Aに対して債務不履行を理由とする損賠賠償請求や契約の解除をすることができます。

5. 受領遅滞中の履行不能

債権者が債務の履行を受けることを拒み、または受けることができない場合を「受領遅滞」といいますが、買主(債権者)の受領遅滞中に、売主(債務者)の引渡債務が履行不能となったような場合について、新民法は、次のような規定を設けました。

債権者が債務の履行を受けることを拒み、または受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。(新民法413条2項)

この規定によれば、A所有の建物についてAB間で売買契約が締結され、引渡期日にAが建物の引渡しをしようとしたところ、Bがこれを拒み、または引渡しを受けることができなかった場合において、その後、建物が地震や類焼によって滅失したときは、Aの引渡債務は履行不能となりますが、その履行不能は、買主(債権者)Bの落ち度によるものとみなされます。

この場合、新民法567条2項により、買主Bは、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求および契約の解除をすることができません。また、代金の支払を拒むこともできません。

ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点

連載「2020民法大改正|ビジネス実務への影響」、今回は2回に分けて「危険負担等」について解説しました。

次回は「消費貸借」について解説します。

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