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2020民法大改正|ビジネス実務への影響⑩ 売主の担保責任 その2

2020民法大改正|ビジネス実務への影響⑩ 売主の担保責任 その2

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。
これに伴い、企業がビジネス実務上の影響を受ける点がいくつかあります。改正点についての正確な知識がなければ、不利益を受ける危険性もあります。

そこで本連載では、ビジネスパーソンが押さえておかなければならない、ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点について30回にわたり解説していきます。

今回のテーマは前回に引き続き「売主の担保責任」です。

改正後の民法(以下「新民法」という。)は、売主が契約に基づき契約内容に適合する目的物を引き渡す義務を負うことを前提に、債務不履行責任の特則として、売主は、引き渡した目的物が契約内容に適合しないものであったとき(欠陥がある、数量が不足している等)は、担保責任契約不適合責任)を負う旨を規定しました(新民法562条から566条)。

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新民法における売主の担保責任1. 引き渡された目的物が種類、品質に関して契約不適合である場合

(1)追完請求権

買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができます。
例えば、A所有の建物につきAB間で売買契約が締結された場合において、当該建物に雨漏りのような欠陥があったときは、買主Bは、売主Aに対し、雨漏りの修補を請求することができます。
なお、売主に帰責事由があることは、追完請求権の要件ではありません。

ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができます
例えば、AがBに売却したパソコンが既に故障していた場合、Bは、故障のないパソコンとの交換(代替物の引渡し)を請求することができますが、パソコンの故障が数分から数時間程度の修理で済むような場合には、Aは、パソコンの修理(修補)で済ますことができます。

目的物の契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、履行の追完の請求をすることができません。

例えば、AがBに売却したパソコンの故障が、Bがパソコンを梱包から取り出す際に誤って落下させてしまったために生じたものである場合には、Bは、追完請求をすることはできません。

(2)代金減額請求権

買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます。
例えば、前例のAB間の売買契約において、買主Bが売主Aに対して相当の期間を定めて雨漏りの修補を請求したところ、Aがその期間内に修補をしないときは、Bは、代金の減額を請求することができます。
なお、売主に帰責事由があることは、代金減額請求権の要件ではありません。

次のいずれかに該当するときは、買主は、催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができます。
① 履行の追完が不能であるとき。
② 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
③ 契約の性質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行をしないでその時期を経過したとき。
④ 買主が催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

なお、目的物の契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、代金の減額の請求をすることができません。

(3)買主の損害賠償請求および解除権の行使

前記(1)および(2)の場合における権利の行使は、損害賠償の請求および解除権の行使を妨げません。すなわち、売主が買主に対して引き渡した目的物が、種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないもの(契約不適合)であることは、売主の債務不履行に該当しますから、買主は、債務不履行を理由に損害賠償請求および契約の解除をすることができます(新民法415条、541条、542条)。

ただし、売主(債務者)に帰責事由がないときは損害賠償請求をすることができませんし、買主(債権者)に帰責事由があるときは契約の解除はできません(新民法415条1項ただし書き、543条)。

(4)目的物の種類または品質に関する担保責任の期間の制限

買主に目的物を引き渡した後に何年も経ってから、ある日突然に責任を追及されるというのでは、売主に酷であることから、売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求および契約の解除をすることができないとされています。

ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、この限りではありません

なお、上記の通知によって保存された買主の権利は、債権の一般的な消滅時効に服して、買主が不適合を知った時から5年間で消滅時効にかかることになります。

2020民法大改正|ビジネス実務への影響⑪ 売主の担保責任 その3へ続きます)

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