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2020民法大改正|ビジネス実務への影響⑫ 債権者代位権 その1

2020民法大改正|ビジネス実務への影響⑫ 債権者代位権 その1

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。
これに伴い、企業がビジネス実務上の影響を受ける点がいくつかあります。改正点についての正確な知識がなければ、不利益を受ける危険性もあります。

そこで本連載では、ビジネスパーソンが押さえておかなければならない、ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点について30回にわたり解説していきます。

今回、3回に分けて取り上げるテーマは「債権者代位権」です。

債権者代位権は、詐害行為取消権と並んで、債務者の責任財産(一般財産)を保全するための制度であり、債権者が債権を回収する場合に、債務者の任意の協力を得ることができないときにおける債権回収の手段です。

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債権者代位権の意義・実務上の有用性

(1)債権者代位権とは

債権者代位権とは、債権者が自己の債権を保全するため、債務者に属する権利(被代位権利)を債務者に代わって行使することができる権利をいいます。

例えば、AがBに対して100万円の貸金債権を有しており、BもCに対して100万円の売掛代金債権を有しているという場合において、Bが他に見るべき財産を有していないにもかかわらず、Cから債権の取立てをしようとせず、これを放置しているため、その債権が時効消滅寸前の状態にあり、AのBに対する債権の回収があやうくなっているときは、Aは、自己の債権を保全するため、Bに代わってCから債権の取立てをすることができます。この場合において、Aの債権を「被保全債権」、Bの債権を「被代位権利」、Cのことを「第三債務者」といいます。

この用語の意味を知っていることは、債権者代位権という制度を理解するうえで前提となりますので、意味を正しく押さえておく必要があります。

債権者代位権の意義・実務上の有用性

債権は、債務者の全財産に執行することをもって、その最後の保障とするものですから、債務者の財産(責任財産)が維持されることは、一般の債権の最後の効力を確保するために欠くことのできないことです。

そこで、民法は、債務者の責任財産の保全を図る制度として、詐害行為取消権とともに債権者代位権を設け、債務者がその責任財産の減少を放置している場合には、債権者がこれを防止する行為をなしうることとしたのです。

(2)債権者代位権の実務上の必要性

債権者代位権は、もともと、フランスにおいて、債権に対する強制執行制度の不備を補うために設けられていた間接訴権(代位訴権)という制度にならったものですが、日本における強制執行制度は、これが完備していたドイツ法を継受したものであり、債権については、差押え・転付命令の手続によって保全が図られていますので、フランスとは事情を異にしています。

それにもかかわらず、日本が債権者代位権という制度を導入したのは、第一に、債権者代位権は、強制執行の手続ではないため、確定判決等の手間も時間もかかる債務名義(強制執行を根拠づけ正当化する文書)の取得を要しないこと、第二に、債権者代位権は、強制執行によっては行えない権利の行使(例えば、取消権や解除権の行使など)や保存行為(例えば、民法改正前の時効の中断や未登記の権利の登記など)もその対象となるという点にあります。

これらの点から、債権者代位権は、強制執行とは異なった実務上の有用性を認めることができます。

2. 債権者代位権に関する見直し

改正前の民法(以下「旧民法」という。)は、債権者代位権について、わずかに423条という条文1つを規定して、制度の骨格を定めているのみで、具体的なルールは、判例によって形成されてきました。
旧民法423条は、次のような規定です。

「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。」(旧民法423条1項)
「債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。」(旧民法423条2項)

債権者代位権は、債権者が他人である債務者の財産管理に介入する制度であるにもかかわらず、具体的なルールを判例に委ねるのみでよいのか、債務者や第三債務者の利益保護等も考慮して、ルールの明確化・合理化を図る必要があるのではないか、との批判がありました。
そこで、新民法は、これまでの判例の蓄積を踏まえた具体的なルールを定めることとしました。

新民法下における債権者代位権のルールについては、次回以降で説明します。

2020民法大改正|ビジネス実務への影響⑬ 債権者代位権 その2へ続きます)

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