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2020民法大改正|ビジネス実務への影響㉚ 組合 その2

2020民法大改正|ビジネス実務への影響㉚ 組合 その2

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。
これに伴い、企業がビジネス実務上の影響を受ける点がいくつかあります。改正点についての正確な知識がなければ、不利益を受ける危険性もあります。

本連載では、ビジネスパーソンが押さえておかなければならない、ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点について30回にわたり解説してきましたが、ついに最終回となりました。

今回のテーマは前回に引き続き「組合」です。

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5. 組合の債権者の権利の行使

組合の債権者は、組合財産に対しても、各組合員に対しても、責任追及をすることができますが、新民法は、以下のように規定して、この点についてのルールを整理しました。

① 組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。(新民法675条1項)

旧民法では、組合の債権者が組合財産について権利行使できることは、当然のこととして、明文の規定を設けていませんでした。この点を明確にしたのが、新民法675条1項です。

② 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合または等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による(新民法675条2項)。

損失分担の割合」は、組合員どうしの合意で決めることができます。合意によって割合を定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じて損失分担の割合が定められます(新民法674条)。

等しい割合」とは、組合員の頭数で割って等分に、という意味です。

6. 組合員の持分の処分等

各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属します(新民法668条1項)。この点については、旧民法でも同様の規定が設けられていました。

ただし、この場合における「共有」は、一般の共有とは異なる点が認められ、「合有」となるものと解されており、旧民法は、「組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合および組合と取引をした第三者に対抗することができない。」(旧民法676条1項)としています。
このことから、旧民法には規定がありませんが、組合員に対する債権者は、組合財産に対する各組合員の持分を差し押さえることはできないと解されています。つまり、組合財産は、構成員である組合員の財産から独立した財産であるということです。

また、組合の債権は、各組合員に分割して帰属するわけではなく、各組合員は、組合の債権をその持分に応じて分割行使することはできないと解されています。

(注)合有とは、各共有者は、観念的・潜在的には持分を有するものの、共同目的のために拘束され、その持分の譲渡や分割の請求に制限がある場合をいいます。

新民法は、従来の解釈を踏まえて、組合員の持分の処分等について、以下のように規定しました。

① 組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合および組合と取引をした第三者に対抗することができない。(新民法676条1項)
組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。(新民法676条2項)
③ 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。(新民法676条3項)
組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。(新民法677条)。

上記のうち、②と④が、従来の解釈を明文化したものです。

7. 組合員の加入

旧民法には、組合員の加入に関する規定がありませんが、脱退や除名に関する規定はありますので、組合員の変動が予定されていることは明らかであり、このことから、加入も可能であると解されていました。
そこで、新民法は、以下のように、組合員の加入に関する明文の規定を設けました。

① 組合員は、その全員の同意によって、または組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。(新民法677条の2第1項)
② 前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。(新民法677条の2第2項)

8. 脱退した組合員の責任等

旧民法には、組合を脱退した組合員が、脱退前に生じた組合の債務について弁済する責任を負うかについて、明文の規定を設けていませんが、一般には、責任を負うものと解されています。
そこで、新民法は、次のように規定して、上記の解釈を明文化しました。

脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。この場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、脱退した組合員は、組合に担保を供させ、または組合に対して自己に免責を得させることを請求することができる。(新民法680条の2第1項)
脱退した組合員は、脱退前に生じた組合の債務を弁済したときは、組合に対して求償権を有する。(新民法680条の2第2項)

ビジネス実務に影響を与える主な民法改正点

今回をもちまして、「2020民法大改正|ビジネス実務への影響」の連載は終了となります。本記事が、読者の皆様が実務において対面する様々な問題点を解決するうえで、多少なりとも一助となることができましたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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