こんにちは。オンスク行政書士講座、担当の藍澤です。
連載「時事問題で学ぶ行政書士試験」では、ニュースの中から行政書士受験生に役立つものを取り上げ、学習のポイントを解説していきます。今回は、行政書士試験の科目の1つである「一般知識」からです。
時事問題ですので、もちろん行政書士受験生以外の方でも興味を持っていただけると思います。よろしければぜひご覧になってください。
本日取り上げる時事問題は「アディーレ法律事務所 業務停止問題」です。
少し前の話になりますが、CMでもよく目にしていた、過払い金返還請求で有名なアディーレ法律事務所が、所属弁護士会から業務停止処分を受けました。
なぜ処分を受けたのかというと、「広告」に問題がありました。
広告で、「過払い金返還請求の着手金が今だけ無料!」とうたっていましたが、実際は5年間もの間「着手金無料キャンペーン」を行っていました。
この広告が、消費者に「今、申込まなければ損をしてしまう!」と誤解を与えるとして、消費者庁から措置命令を受け、それを見た弁護士会が業務停止処分を行いました。
行政書士受験生 注目ポイント
行政書士受験生が注目すべきポイントは「景品表示法」です。
試験科目ではありませんが、「消費者問題」は、近年法改正があったこともあり、一般知識では重要な分野です。
「景品表示法」は、「偽の表示を禁止し、消費者が自分に合ったサービスを選ぶ環境を守ること」を目的としています。
「この補正下着を着て寝るだけで、絶対、確実に10キロやせます!」
「この水を飲むだけでガンが治ります。」
「世界最高級の羽毛100%の羽毛布団」
「業界No.1の速度を誇るWi-Fi」
「通常100万円の壺が、1週間の期間限定で、なんと5,000円!!」
という広告を見たことがありますか?これらの広告は、景品表示法に違反しているおそれがあります。
景品表示法で禁止している不当表示には大きく3つあります。
「有利誤認」「優良誤認」「その他誤解されるおそれのある表示」です。
「有利誤認」は、値段や価格を著しく安く見せる表示です。それを見た消費者は、「すごくお得だから、買わなくては損!」と誤解をしてしまうおそれがあります。
アディーレ法律事務所の「今だけ着手金無料!」という広告は、有利誤認にあたります。
過払い金に悩んでいる消費者を「(実際はいつも着手金無料なのに)今、申込めばお得!」と誤解させて、消費者から「他の法律事務所と比較して検討する」という選択肢を奪っています。
よく商店街で、常に閉店セールをしているお店がニュースに出ていますよね。今回のケースと同じです。
もちろん経営戦略でセールをすることが禁止されているわけではありません。あくまで、著しくお得だと誤解を与える表示のみが禁止されています。
「優良誤認」は、実際よりも、より良いものだと誤解を与える表示です。 例えば、予備校のパンフレットで、
「業界No.1講師による、最高の講義を約束します。合格率100%!この講義を受講すれば、あなたも確実に合格できます!」
と表示をすると、「優良誤認」にあたります。
これも、もちろん裏付けとなる合理的な根拠があれば禁止されません。予備校の合格者数等をパンフレットに掲載する場合は、どのように計算したかという根拠が、必ず記載されています。
「その他誤解されるおそれのある表示」とは、特に誤解を与える表示がされやすい6分野の表示を指定しています。
「無果汁の清涼飲料水」や「原産国」の表示等が対象です。
では、景品表示法に違反する表示をした場合、どうなるのかというと、消費者庁から措置命令や、課徴金の納付命令を受けます。
「措置命令」とは、違反行為を差止めたり、一般消費者に周知し、再発防止策を講じさせたりすることです。
「課徴金の納付命令」は2014年の法改正(2016年4月施行)で導入された制度で、「課徴金」とは、不当な表示をした事業者が、ペナルティとして払うお金です。
義務を履行させるための手段ではありますが、「行政上の強制徴収」にはあたらないことも、あわせて確認しておきましょう。
行政書士受験生 注目ポイント まとめ
景品表示法とはどんな法律か説明できるようにしましょう。 法改正で「課徴金」の制度が導入されたことを覚えましょう。
開業すると、事務所の広告を作成する人も多いです。まずは広告に興味を持ってもらわなければ、サービスを知ってもらうこともできません。ですから、誰もがインパクトのある広告を作りたいですよね。
景品表示法の知識を活かして、法律に違反しない範囲で効果的な広告を作ることを心がけてくださいね。
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