こんにちは。オンスク行政書士講座、担当の藍澤です。
連載「時事問題で学ぶ行政書士試験」では、ニュースの中から行政書士受験生に役立つものを取り上げ、学習のポイントを解説していきます。
時事問題ですので、もちろん行政書士受験生以外の方でも興味を持っていただけると思います。よろしければぜひご覧になってください。
本日取り上げる時事問題は「新元号(元号法・天皇制)」です。
安倍首相は、平成31年の年頭会見で、新元号について4月1日に閣議決定し、同日中に公表することを発表しました。
元号とは、「年号」とも呼ばれ、天皇制に基づいています。新天皇が即位されたときに、新しい元号になり、一世一元(天皇1人につき、1つの元号)で、在位中は元号が変わることはありません。
政府は平成29年に、今上天皇(現在の天皇)の退位日を平成31年4月30日とし、皇太子殿下の天皇即位日を平成31年5月1日と閣議決定しました。
これによって、「平成」の元号は平成31年4月30日をもって終わりを迎え、5月1日から新元号になります。
当初は、4月11日に新元号が公表される予定でしたが、情報システム改修などに時間がかかるため、4月1日に新元号が公表されることになりました。
行政書士受験生 注目ポイント
行政書士受験生が注目すべきポイントは「元号法」と「天皇制」です。
ポイント① 元号法
元号は、「元号法」で定められています。とても短い法律で2条しかありません。
第1条 元号は、政令で定める。
第2条 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
とあるように、元号は「政令」で定められます。
「政令」とは、内閣が定める命令です。行政書士受験生は、「政令」「省令」「内閣府令」はそれぞれどこが作る命令か覚えましょう。
また、元号は政令で定められるので、法改正が必要ないこともあわせて覚えましょう。
ポイント② 天皇制
続いて、天皇制です。
憲法で、「皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを承継する(憲法2条)。」と、世襲制について定められています。
憲法で定められているのは、「世襲制」のみということに注意しましょう。
最近、女性天皇についての議論もありますが、例えば、女性天皇を認めようとするときに、憲法改正は必要ありません。憲法に女性天皇を否定する条文はないからです。
「皇室典範」という法律で、女性天皇即位を否定して、男系男子主義が採用されているので(皇室典範1条)、「皇室典範」の改正、つまり法改正が必要です。
憲法を改正するには、国民投票を含めたとても厳しい手続き(憲法96条)が必要ですが、「皇室典範」のような法律を改正するのは、国会の中だけでできます。
また、皇室典範1条は憲法14条「法の下の平等」の男女平等原則に違反するのではないか、いう問題もあります。
これも、憲法2条で天皇の世襲制を認めている以上、法の下の平等の例外と解されています。
行政書士受験生 注目ポイント まとめ
元号は政令で定められることを覚えましょう。また、「政令」「省令」「内閣府令」はどこが作るのか確認しましょう。 天皇は世襲制をとっています。憲法で定められているのは「世襲制」のみで、「法の下の平等」の例外として認められていることもあわせて覚えましょう。
いよいよ新しい時代の幕開けが近づいてきました。
平成の時代の始まりは、昭和天皇の崩御によって始まったので、国民は自粛ムードでしたが、今回は違います。ネットでは新しい元号の予想が盛り上がっているようです。
平成が終わるのは少し寂しいですが、どんな時代が来るのかとても楽しみですね。
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