こんにちは。オンスク行政書士講座、担当の藍澤です。
連載「時事問題で学ぶ行政書士試験」では、ニュースの中から行政書士受験生に役立つものを取り上げ、学習のポイントを解説していきます。今回は、行政書士試験の科目の1つである「一般知識」からです。
時事問題ですので、もちろん行政書士受験生以外の方でも興味を持っていただけると思います。よろしければぜひご覧になってください。
本日取り上げる時事問題は「消費税率引き上げ」です。
2018年10月、安倍晋三首相は臨時閣議で、「予定どおり、2019年10月に消費税を10%に引き上げる」と表明しました。
消費税率引き上げについて定めた「消費税法」や関連法令はすでに改正されていましたが、消費税率引き上げは、過去に2回延期をされています。
過去2回の延期は、国政選挙絡みだったこともあり、今年10月に本当に予定どおり増税がされるのか注目されています。
今回の引き上げは、「社会保障と税の一体改革」の1つとされていて、増収分は、全額、社会保障にあてられます。
社会保障というと、年金や生活保護を思い浮かべる人が多いと思いますが、全世代に向けた社会保障です。
消費税率引き上げと一緒に、全世代型社会保障制度の充実が図られ、高齢者はもちろん子育て世代向けの社会保障制度も改革されます。
例えば、保育園・学童クラブの待機児童の解消、育児休業給付の充実、医療・介護サービスの提携体制強化などの財源となります。
行政書士受験生 注目ポイント
行政書士受験生が注目すべきポイントは「消費税の分類」と「軽減税率」です。
ポイント① 消費税の分類
まず、「消費税の分類」についてです。
税金の徴収方法は2種類あります。直接税と間接税という方法です。
「直接税」とは、納税者が、直接国や地方公共団体に支払う税金のことです。所得税、住民税、法人税、事業税、相続税、贈与税、固定資産税などがあります。
収入や売上によって税率が変わるので、景気の影響を受けやすいという特徴があります。景気が悪くなると、直接税の税収は下がります。
「間接税」とは、税を負担する人と、実際に納税する人が異なる税金のことです。酒税、たばこ税、消費税などがこれにあたります。
収入に関わらず、均一にかかる税金なので、景気の影響を受けにくいという特徴があります。
また、日本の直間比率(税収全体に占める直接税と間接税の割合)は、直接税:間接税=6:4です。
世界では、直接税:間接税=5:5の国が多く、今までも直間比率を見直そうという動きはありました。
今回の消費税率引き上げで、直間比率が少し変わると思います。
ポイント② 軽減税率
次に、「軽減税率」についてです。
消費税は、所得の多い少ないに関係なく均一にかかります。急に税率が上がると、所得の少ない人の負担割合が多くなってしまいます。
そこで、家計消費の4分の1を占める飲食料品の税率は8%のままにするという「軽減税率」制度が、今回の引き上げで導入されます。
対象となるのは、飲食料品と新聞で、酒類や外食や医薬品・医薬部外品は含まれません。
とてもややこしくなりそうです。
例えば、ファーストフード店でハンバーガーを買って、店内で食べれば外食となり、消費税は10%です。
テイクアウトをして、職場で食べれば食料品となり、消費税は8%となります。
出前の場合、ケータリングの場合、屋台の場合、イートインコーナーで食べる場合も混乱がありそうですね。
栄養ドリンクも、「清涼飲料水」の表示のものは食料品となり、消費税は8%ですが、「医薬部外品」の表示のものは軽減税率の対象外で消費税は10%となります。
新聞は、定期購読契約の場合が8%で、電子版やコンビニで買う新聞は軽減税率の対象外となるようです。
行政書士受験生 注目ポイント まとめ
直接税、間接税、直間比率について説明できるようにしましょう。 軽減税率制度について説明できるようにしましょう。
消費税率の引き上げは何度も延期されてきましたが、とうとう今年引き上げとなりそうです。
引き上げ直前には、高価な物の駆け込み購入が増え、引き上げ後の消費が落ち込むことが考えられます。
軽減税率のほかにも、ポイントのキャッシュバックなど、経済に影響がないようにあらゆる施策が総動員されるそうです。
しっかり勉強して、賢く動きたいですね。
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