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2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|① 意思表示(法律行為)の効力

2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|① 意思表示(法律行為)の効力

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されます。

債権法を始めとして、総則、相続等改正箇所はきわめて多岐にわたりますが、本連載では15回に渡り宅建試験に出題の可能性のある民法改正点に焦点を当てて解説をしていきたいと思います。

今回取り上げるテーマは、意思表示(法律行為)の効力に関する改正点です。

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意思表示(法律行為)の効力|改正点1. 意思能力

幼児、泥酔者、認知症患者等の意思能力を有しない者がした契約などの法律行為は、無効であるというのが従来の判例・学説でしたが、この点については改正前の民法に明文の規定がありませんでした。

それが、改正により「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」(民法3条の2)という規定が新たに設けられました。

意思表示(法律行為)の効力|改正点2. 心裡留保

「土地を売るつもりは全くないにもかかわらず、冗談で土地を売る」といったように、わざと真意と異なる意思表示を行った場合を心裡留保といいます。
心裡留保による意思表示は、相手方の保護のため、原則として有効ですが、相手方が真意でないことを知っていた場合(悪意)または注意すれば知ることができた場合(善意有過失)には、無効となります。

ただし、無効となるときでも、事情を知らない(善意)の第三者に対しては無効を主張(対抗)できないというのが従来の判例・学説でした。
そして、その根拠としては、虚偽表示(通謀虚偽表示)に関する民法94条2項の類推適用によることが示されていました。

改正法は、善意の第三者の保護を図ることをより明確にするために、心裡留保による「意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」(民法93条2項)という規定を新たに設けました。

意思表示(法律行為)の効力|改正点3. 錯誤

意思表示をした者の意思や真意と表示に食い違いがありそれを知らずに意思表示をした場合、これを錯誤(勘違い)による意思表示といいます。

この錯誤について、改正前の民法はとくに分類を設けていませんでしたが、錯誤は次の2種類に分けられることを明文化しました(民法95条1項)。

(1)表示行為の錯誤

これは、意思表示に対応する意思を欠く錯誤(民法95条1項1号)をいい、例えば、1,000万円で土地を売るつもりだったのに、契約書に100万円と誤記して、その誤記に気付かないまま100万円で土地を売ってしまったような場合がこれに該当します。

(2)動機の錯誤

これは、表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(民法95条1項2号)をいい、例えば、駅が廃止されるという噂を真実であると誤信して、駅前の土地を安く売却したような場合がこれに該当します。

上記(1)、(2)いずれの場合も、錯誤による意思表示は、「一定の要件」を充たす場合には、取り消すことができます(ただし、動機の錯誤については、その動機(表意者が法律行為の基礎とした事情)が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。後述の(注)を参照)。

この点、改正前の民法は、錯誤による意思表示を「無効」としていました。

錯誤による意思表示が「無効」から「取消し」へと改正されたのは、錯誤を理由とする意思表示の無効の主張は原則として表意者のみがすることができる、というのが従来の判例の見解であり、「表意者のみが」無効を主張できるというのは、詐欺や強迫を理由とする取消しの場合と同じであることから、このような判例の見解にあわせたものです。

(注)例えば、離婚に伴う財産分与として土地等を譲渡する場合において、分与をする者の側に課税されないことがその財産分与の前提とされていることが表示されているようなときには、動機の表示があるため、取消しが認められます。

一定の要件」とは、次の要件をいいます。

その錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであること(要素の錯誤
表意者に重大な過失がないこと(無重過失

ただし、次のいずれかに該当する場合には、表意者に重大な過失があったときでも、その意思表示を取り消すことができます。

相手方が表意者に錯誤があることを知り(悪意)、または重大な過失によって知らなかったとき(重過失
相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき(共通の錯誤
例えば、駅が廃止されるという噂を売主・買主双方が真実であると誤信して、これを踏まえた安い地価で売買契約が締結された場合など、当事者双方が同じ錯誤に陥っていた場合のことを「共通の錯誤」と言います。

上記ア、イの場合には、相手方を保護する必要性が乏しいことから、改正法は、表意者に重過失があっても、取消しの主張を認めることとしたのです。

また、改正により、錯誤による意思表示の取消しは、「善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。」(95条4項)とされました。

この点、改正前は第三者保護規定が設けられておらず、また、判例も「錯誤による意思表示の無効は、善意の第三者にも対抗することができる」という見解を採っていましたが、改正法は、効果の点で似ている詐欺による意思表示の取消しの場合とあわせて、上記のような第三者保護規定を設けました。

錯誤のまとめ

  表示錯誤 動機の錯誤
効果 一定の要件を充たせば取消しの主張ができる。 同左
取消しの主張の要件 ①重要な錯誤であること。
②原則として表意者に重過失がないこと。
同左(ただし、動機が相手方に明示または黙示に表示されたことが必要)。
重過失があっても取消しの主張ができる場合 ①相手方が表意者に錯誤があることを知り(悪意)、または重過失によって知らなかったとき(重過失)。
②相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき(共通の錯誤)。
同左
第三者に取消しを対抗できるか 善意・無過失の第三者に対しては対抗できない。 同左

意思表示(法律行為)の効力|改正点4. 詐欺

他人に騙された結果思い違いをして行った意思表示を詐欺による意思表示といいますが、詐欺による意思表示は取り消すことができます。

ただし、「詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。」(96条3項)とされています。

改正前においては、第三者保護の要件として、善意のみが要求されていたのですが、真意と異なることを認識しながらあえて行う心裡留保や虚偽表示(通謀虚偽表示)の場合に比べて、詐欺や錯誤の場合には表意者を保護する必要性が強いことを踏まえ、改正法は、第三者保護の要件として、善意に加えて無過失をも要することとしたのです。

また、第三者が詐欺を行った場合、例えば、AがCに騙されて土地をBに売却したような場合について、改正前は、相手方がその事実を知っていたとき(悪意)に限り、その意思表示を取り消すことができるとしていました。

この点、改正法は「相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、または知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。」(民法96条2項)と規定して、第三者の詐欺の事実について相手方が悪意のときだけでなく、有過失のときにも取り消すことができるとされました。

連載「宅建試験で聞かれる民法改正点」、今回は2020年度宅建試験で聞かれる可能性が高い民法改正点のうち、「意思表示(法律行為)」について解説しました。

次回は「債務不履行・契約の解除」について解説していきます。

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