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2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|㉔ 相続 その1

2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|㉔ 相続 その1

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。
本連載では30回に渡り、2020年度宅建試験に出題の可能性のある民法改正点に焦点を当てて解説をしていきます。
今回2回に分けて取り上げるテーマは「相続」です。

相続は、宅建試験においては、毎年必ず出題されるテーマの1つです。
相続に関しては、被相続人の死亡により残された配偶者の生活への配慮等の観点から、配偶者居住権・配偶者短期居住権の創設および婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置、遺言の利用を促進し相続をめぐる紛争を防止する観点から、自筆証書遺言の方式の緩和および法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設 (遺言書保管法)がなされ、その他、預貯金の払戻し制度の創設、遺留分制度の見直し、特別の寄与の制度の創設などの改正が行われています。

本記事では、数多ある改正点の中から、宅建試験で問われる可能性のあるものをセレクトして解説をしていきます。

今回は、配偶者居住権と配偶者短期居住権について説明します。

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1. 配偶者居住権

(1)配偶者居住権の創設の趣旨

社会の高齢化が進み平均寿命が延びたことから、夫婦の一方が亡くなった後、残された配偶者が長期間にわたり生活を継続することも多くなりました。
その際には、配偶者が、住み慣れた住居で生活を続けるとともに老後の生活資金として預貯金等の資産も確保したいと希望することも多いと考えられます。

そこで、改正後の民法(以下「新民法」という。)は、遺言や遺産分割の選択肢として、配偶者が、無償で、住み慣れた住居に居住する権利を取得することができるようするため、配偶者居住権の制度を創設しました。

(2)配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が、被相続人の財産に属した建物(夫婦で共有する建物でもかまいません。)に相続開始の時に居住していた場合において、①遺産分割、②遺贈・死因贈与、③家庭裁判所の審判のいずれかにより、その居住建物の全部について無償で使用および収益をすることができる権利をいいます(新民法1028条1項1号・2号、1029条、554条)。

ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合には、配偶者居住権は認められません(新民法1028条1項ただし書き)。

(3)配偶者居住権の存続期間

配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とされます(新民法1030条本文)。

ただし、遺産分割の協議もしくは遺言に別段の定めがあるとき、または家庭裁判所が遺産分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによります(新民法1030条ただし書き)。

(4)配偶者居住権の登記等

居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います(新民法1031条1項)。

(5)配偶者による使用および収益

① 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用および収益をしなければなりません(新民法1032条1項本文)。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げません(新民法1032条1項ただし書き)。

② 配偶者居住権は、譲渡することができません(新民法1032条2項)。

③ 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築もしくは増築をし、または第三者に居住建物の使用もしくは収益をさせることができません(新民法1032条3項)。

④ 配偶者が前記①または③の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができます(新民法1032条4項)。

(6)居住建物の修繕等

① 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができます(新民法1033条1項)。

② 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができます(新民法1033条2項)。

③ 居住建物が修繕を要するとき(配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、または居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければなりません(新民法1033条3項本文)。

ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りではありません(新民法1033条3項ただし書き)。

(7)居住建物の費用の負担

配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担します(新民法1034条1項)。

(8)居住建物の返還

配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければなりません(新民法1035条1項本文)。

ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができます(新民法1035条1項ただし書き)。

2. 配偶者短期居住権

(1)配偶者短期居住権の創設の趣旨

夫婦の一方が死亡し、残された配偶者が、被相続人の所有する建物に居住していた場合に、当該配偶者が,直ちに住み慣れた建物を出て行かなければならないとすると、当該配偶者にとって、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。

そこで、新民法は、夫婦の一方の死亡後、残された配偶者が、最低でも6ヵ月間は、無償で住み慣れた住居に住み続けることができるようにするため、配偶者短期居住権の制度を創設しました。

(2)配偶者短期居住権とは

配偶者は、相続開始時に被相続人の建物(居住建物)に無償で住んでいた場合には、遺言や遺産分割で配偶者居住権が認められなくても、①配偶者が居住建物の遺産分割に関与する場合には居住建物の帰属が確定する日までの間(最低6ヵ月間)、②居住建物が第三者に遺贈された場合や配偶者が相続放棄をした場合には居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6ヵ月以下の期間、居住建物を無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を取得します(新民法1037条1項)。

この配偶者短期居住権は、配偶者に当然に認められる権利です。

(2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|㉕ 相続 その2へ続きます)

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