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2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑭ 弁済・相殺 その2

2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑭ 弁済・相殺 その2

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。

本連載では30回に渡り、2020年度宅建試験に出題の可能性のある民法改正点に焦点を当てて解説をしていきます。

今回のテーマは前回に引き続き「弁済・相殺」です。

債権の消滅事由には、取消し、解除、時効のほかに、弁済、代物弁済、供託、更改、免除、混同、相殺などがありますが、とりわけ弁済相殺は、宅建試験では1、2年おき程度で出題されており、受験対策上手を抜けない分野であるといえます。

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弁済についての改正点③ 受領権者としての外観を有する者に対する弁済

旧民法は、「債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。」(旧民法478条)という規定を設けていました。

債権の準占有者」とは、判例によれば、真実の権利者であると信じさせるような外観を有する者をいい、例えば、他人の預金通帳と印鑑を所持する者、偽造された債権譲渡契約書の持参人、債権者の代理人と詐称して債権を行使する者(詐称代理人)などが該当します。
これらの者には、弁済を受領する権限はありませんので、本来なら、これらの者に対してした弁済は無効となるはずですが、弁済は、日常頻繁に行われる行為であること、債務者(弁済者)は本来債務の弁済を拒めない立場にあることなどを考慮して、法的安定性や弁済者の保護を図るため、例外的に、弁済者が善意・無過失であるときは、その弁済は有効とされました。

上記の取扱いは、新民法の下でも変わりはありませんが、「債権の準占有者」という表現が今ひとつ分かりにくい、という批判がありました。そこで、新民法は、次のような改正を行いました。

受領権者(債権者および法令の規定または当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。(新民法478条)

旧民法の「債権の準占有者」という表現を「受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」という表現に改めて、より分かりやすいものとするとともに、「債権の準占有者」の意味を条文上も明確にしました。

相殺についての改正点① 相殺とは

相殺とは、当事者が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、当事者の一方が、意思表示だけで、互いの債務を対当額(同じ額)について消滅させることをいいます。

例えば、AがBに対して100万円の貸金債権を有しており、他方、BもAに対して80万円の代金債権を有している場合において、AがBに対して相殺の意思表示をすれば、互いの債権が対当額である80万円について消滅し、後は、AがBに対して20万円の貸金債権を有することになります。

新民法の下での譲渡制限特約の効力

この場合において、相殺の意思表示をなした方であるAが有する貸金債権を 「自働債権」 といい、相殺の意思表示を受けた方であるBが有する債権を 「受働債権」 といいます。

相殺についての改正点② 相殺が禁止される場合 (1)旧民法の規定

まず、旧民法の規定から見ていきましょう。旧民法の規定を知ることにより、新民法の規定をより深く理解することができます。

(1)旧民法の規定

旧民法は、以下の場合には、相殺をすることができないとしています。

① 債務の性質がこれを許さないとき

例えば、AがBに対してBの仕事を3日間手伝うという債務を負担しており、他方、BはAに対してAの仕事を3日間手伝うという債務を負担している場合には、現実に仕事を手伝わないと意味がありませんから、相殺することはできません。

当事者が反対の意思を表示した場合(つまり、当事者間で相殺禁止特約をした場合)

例えば、AとBが互いに債権を有する場合に、相殺禁止特約をしたときは、相殺をすることができなくなります。ただし、この特約は、善意の第三者には対抗できないとされていますので、AのBに対する債権を譲り受けたCが、Bに対して債務を負担している場合において、相殺禁止特約の存在につき善意であるときは、Cは、譲り受けた債権を自働債権として、BのCに対する債権と相殺することができます。

③ 債務が不法行為によって生じたときに、その債務者がする相殺(つまり、受働債権が不法行為によって生じた債権である場合

例えば、自動車事故を起こしてAに怪我をさせ、損害賠償債務を負ったBが、たまたま被害者であるAに債権を有していたとしても、その債権と損害賠償債務とで相殺を主張することは許されません。

④ 債権が差押えを禁じたものであるときに、その債務者がする相殺(つまり、受働債権が差押禁止債権である場合)

例えば、扶養債権、恩給債権などは、法律により差押えが禁止されていますので、これらの債権を受働債権とする相殺は許されません。

⑤ 支払の差止めを受けた第三債務者が、その後に取得した債権によってする相殺(つまり、自働債権が受働債権の差押え後に取得された債権である場合)

例えば、下記の図のように、AがBに対して100万円の貸金債権(取得日:2020年4月1日、弁済期:2020年7月1日)を有しており、他方、BはAに対して100万円の代金債権(取得日:2020年2月1日、弁済期:2020年5月1日)を有している場合において、Bの債権者であるCが Bの代金債権を2020年3月1日に差し押さえたとします。

この場合、Aの貸金債権は、Cの差押え後に取得されたものであるため、Aは、その後相殺適状になったとしても、その貸金債権を自働債権として、Bの代金債権(受働債権)と相殺することはできません。

なぜなら、これを認めると、差押債権者であるCの利益が害されるからです。Cは、Bの代金債権をもって自分の債権の回収に充てることを期待していますが、Aの相殺を認めると、この期待が不当に奪われることになり、差押えをした意味がなくなってしまうからです。

また、そもそも、CがBの代金債権を差し押さえた時点では、AはまだBに対して債権を有していなかったのですから、Aには相殺に対する期待はなく、これを保護する必要がないからです。

新民法の下での譲渡制限特約の効力

2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑭ 弁済・相殺 その3へ続きます)

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