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2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑮ 弁済・相殺 その3

2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑮ 弁済・相殺 その3

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されています。

本連載では30回に渡り、2020年度宅建試験に出題の可能性のある民法改正点に焦点を当てて解説をしていきます。

今回のテーマは前回に引き続き「弁済・相殺」です。

前回は相殺が禁止される場合について、旧民法の内容を説明しましたが、今回からは、新民法の内容について説明します。

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相殺についての改正点② 相殺が禁止される場合(2)新民法の規定

(2)新民法の規定 ① 相殺禁止特約の効力についての改正

新民法は、前回述べました(1)旧民法の規定の②当事者が反対の意思を表示した場合(つまり、当事者間で相殺禁止特約をした場合)について、次のような改正規定を設けました。

当事者が相殺を禁止し、または制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、または重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。」(新民法505条2項)

旧民法は、第三者につき「善意」を要求するのみでしたが、新民法は、善意に加えて無重過失をも要求しました。
従って、例えば、AとBが互いに債権を有しており、相殺禁止特約をしていたとします。この場合において、Bに対して債務を負担しているCが、AのBに対する債権を譲り受けたとき、Cが相殺禁止特約の存在につき悪意である場合だけでなく、善意であっても重過失がある場合には、Cは、譲り受けた債権を自働債権として、BのCに対する債権と相殺することはできません

重過失のある者は、相殺禁止特約につき悪意である者と同視され、保護に値しないためです。

新民法の下での譲渡制限特約の効力

(2)新民法の規定 ② 受働債権が不法行為によって生じた債権である場合の相殺禁止についての改正

前回の記事で述べたように、自動車事故を起こしてAに怪我をさせ、損害賠償債務を負ったBが、たまたま被害者であるAに債権を有していたとしても、その債権と損害賠償債務とで相殺を主張することは許されません。
現実に支払いをしてやらなければ被害者がかわいそうだという被害者保護の趣旨であり(このことを「薬代は現金で」といいます)、また、このような相殺を禁止しておかなければ、支払いが滞っている債務者に対して、どうせ回収できないならその分損害を与えてやろうなどと考えて、債権者がわざと不法行為を働くおそれもあり、これを防止する目的もあるからです。

もっとも、このような趣旨からすれば、生命、身体等のいわゆる人身損害について、わざと損害を与える意図で(悪意で)した不法行為についてのみ相殺を禁止すればよく、不法行為全体を対象にしていた旧民法の規定は、相殺禁止の範囲が広すぎるとの批判がありました。
また一方で、医療事故や労災事故等の事例では、被害者に不法行為ではなく債務不履行による損害賠償債権が成立することがありますが、債務不履行による損害賠償債権にも同じ趣旨が当てはまるのではないかとの指摘もありました。

そこで、新民法は、前記(1)の③の旧民法が相殺を禁止する「受働債権が不法行為によって生じた債権である場合について、以下のような改正を行いました。

次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
ⅰ 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
ⅱ  人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務(ⅰに該当するものを除く。)

(新民法509条)

すなわち、「受働債権が不法行為によって生じた債権である場合」をさらに次の2つの場合に分けたのです。

ⅰ 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
「悪意」とは、「損害を与える意図」という意味です。

ⅱ 人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務
人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務」には、不法行為による損害賠償債務だけでなく、医療事故などのような債務不履行による損害賠償債務も含まれることに注意してください。

新民法によれば、自動車事故のケースであっても、過失による物損事故にとどまる場合には、加害者は、被害者が取得した損害賠償債権を受働債権として、被害者に対して有する債権と相殺することができることになります。

例えば、ハンドル動作を誤ってAの自宅の塀に自動車をぶつけて塀を壊してしまったBが、たまたまAに対して貸金債権を有していたというような場合には、Bは、AのBに対する不法行為による損害賠償債権を受働債権として、自己のAに対する貸金債権と相殺することができます

2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑭ 弁済・相殺 その3へ続きます)

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