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2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑤ 代理 その1

2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑤ 代理 その1

民法が約120年ぶりに改正され、改正法が2020年(令和2年)4月1日から施行(一部の規定は未施行)されます。

本連載では30回に渡り、2020年度宅建試験に出題の可能性のある民法改正点に焦点を当てて解説をしていきます。

今回3回に分けて取り上げるテーマは、代理に関する改正点です。

代理は、宅建士試験の出題テーマの中でも特に出題頻度の高いテーマですが、今回の改正点は従来、出題の多い項目に関するもので、今後の本試験に出る可能性の高いところでもあります。本記事で解説する改正点は、確実に押さえておきましょう。

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1. 代理人の行為能力

制限行為能力者が、代理人としてした行為を、制限行為能力を理由として取り消すことができるかが問題となります。
例えば、Aが未成年者Bに代理権を与え、A所有の甲土地の売却を依頼し、Bがその法定代理人の同意を得ずにCに対して甲土地を売却したところ、その売買契約がAにとって不利な内容であった場合、Aは、Bが未成年者であることを理由として、この売買契約を取り消すことができるでしょうか。

1. 代理人の行為能力

この点に関して、改正前の民法(以下「旧民法」という。)は、「代理人は、行為能力者であることを要しない。」(旧民法102条)と規定しています。この規定によれば、Aは、Bが未成年者であることを理由として、当該売買契約を取り消すことはできないことになります。

本来、民法が未成年者等の制限行為能力者がした行為について取消しを認めたのは、制限行為能力者が不利益を受けるのを防止するためであるわけですが、代理人のした行為の効果は本人に帰属することからすれば、かりに制限行為能力者である代理人が本人にとって不利な内容の代理行為をしたとしても、それによって不利益を受けるのは本人だけであって、制限行為能力者である代理人は、なんら不利益を受けることはないからです。

また、本人は、自らの意思で、あえて制限行為能力者を代理人として選任したわけですから、制限行為能力者である代理人がした行為の結果、不利益を受けたとしても、自業自得であるといえます。

改正後の民法(以下「新民法」という。)も、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」(新民法102条本文)と規定しましたので、新民法の下でも、上記の結論に変わりはないことになります。

ただし、新民法102条ただし書きは、「ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。」と規定しましたので、制限行為能力者が他の制限行為能力者の代理人としてした行為については、取り消すことができることになります。
その理由は、①制限行為能力者が「他の制限行為能力者」の法定代理人である場合においては、代理行為の取消しができないと、「他の制限行為能力者」の保護が十分に図れないおそれがあること、②このような場面では、「他の制限行為能力者」は、自ら代理人を選任しているわけではないからです。

また、上記の改正とあわせて、「被保佐人が制限行為能力者の法定代理人として、重要な財産上の行為(借金、不動産の売買、新築、改築、増築または大修繕等)をするには、その保佐人の同意を得なければならない」旨の規定(新民法13条1項10号)も新設されました。

従って、例えば、未成年者Aの親権者であるBが被保佐人である場合において、Bが、その保佐人の同意を得ずに、Aの代理人としてA所有の土地をCに売却したときは、当該売買契約は、取り消し得るものとなります。

2. 自己契約・双方代理

自己契約とは、例えば、Aから土地の売却を依頼された代理人Bが、自分自身を買主としてAB間の売買契約を締結するというように、同一の法律行為について当事者の一方が相手方の代理人となることをいいます。

2. 自己契約・双方代理

また、双方代理とは、例えば、Aから土地の売却を依頼された代理人Bが、Cからも土地購入の代理権を授与され、AB双方の代理人としてAC間の売買契約を締結するというように、同一の法律行為について、同一人が当事者双方の代理人となることをいいます。

2. 自己契約・双方代理

自己契約や双方代理は、本人に不利益を与えるおそれがあるため、これらは禁止され、これに違反してなされた場合には、本人に効果が帰属しません無権代理行為となります)。
この点につき、新民法は、「同一の法律行為について、相手方の代理人として、または当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」(新民法108条1項本文)と規定しました。

もっとも、旧民法も「同一の法律行為については、相手方の代理人となり、または当事者双方の代理人となることはできない。」(旧民法108条本文)と規定していましたので、自己契約や双方代理が禁止される行為であることは、変わりはありませんが、違反してなされた場合の効果については、明文の規定がありませんでした(ただし、判例は、無権代理行為と解していました)。
そこで、新民法は、違反の効果は「無権代理行為」であることを明らかにしたのです。

なお、本人が追認をすれば、本人に効果が帰属します。また、本人があらかじめ許諾した行為や本人に不利益を生じさせるおそれのない単なる債務の履行については、自己契約や双方代理は認められており(新民法108条1項ただし書き)、この点は、旧民法と同様です。

2020年宅建試験に出る民法改正点を徹底解説|⑥ 代理 その2へ続きます)

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